Lord of My Heart 〜呪われ伯爵の白い(はずだった)結婚〜




 オリヴィアは狭い馬車の中でせわしく視線を泳がせながら、どこかに身を隠す場所がないかと探していた。
 救いを求めるように上を仰いでも、見えるのは低い屋根だけ。
 自分がどれだけ狭い箱の中に閉じ込められているのか、思い知らされるだけだった。


 エドモンドはそんなオリヴィアを凝視しながら、この娘を懲らしめる100の方法を思案中だった。何かに考えを集中していないと自分を抑えていられなかったからだ。
 エドモンドはオリヴィアとローナンの二人にたいして大いに腹を立てていたが、それ以上に彼が許しがたかったのは他でもない、彼自身だ。

 あの白い肌を見てみろ。
 あの柔らかい肢体を。

 歩く男の夢が、薄いレースに身を包んできょろきょろと外をうかがっている。

 エドモンドはオリヴィアにたいして禁欲を誓ったつもりでいたが、死人ではない。呪わしくも人一倍健康な成年男性であり、少なくとも法律的には彼女の夫である。
 彼女に触れるのを我慢するだけでも脂汗がにじむほどの忍耐と努力が必要だというのに、そこに嫉妬が加わっては最悪だった。

 この薄いレースに包まれた生き物をローナンの隣に立たせ、他の街の男たちの目にさらすなど、考えるだけで耐え難いことだった。

 しかしエドモンドは、彼女に触れ、彼女が自分のものだと主張することができない。
 生き地獄とは、業火に焼かれることでも、針のむしろに立たされることでもなく、天国を目の前にしてそれに触れるのを禁じられることなのだと……エドモンドは理解した。