エドモンドは、全ての小作人に用をいいつけると、自らも斧を手に取って歩き出した。いくつか放牧を邪魔する危険な枯れ木が見つかったので、それを切り出す予定だ。
しかし、歩き出したエドモンドを、一人の青年の声が止めた。
「エドモンドの旦那、仕事とは関係ないんですが──」
新しい柵をめぐらす役目をいいつかった若い小作人が、道具を肩に乗せながら、エドモンドの横を歩いて言う。
「俺たちゃ、最近、旦那の様子を心配してるんですよ。今日もまた顔色が悪いじゃねえですか」
青年に悪気がないのは分かっていたが、エドモンドはむっつりと答えた。
「及ばない。少し疲れているだけだろう」
「だったら休んだ方がいいんじゃねえですか、旦那。一日くらい休んでも罰は当たりませんよ」
「俺も新婚のころはそんなだったさぁ!」
遠くから、別の小作人が行儀悪く口を挟んだ。「奥さんがしつこくってね。今じゃ、俺が誘っても見向きもしないくせにさぁ!」
すると青年は、あぁ、と納得の声を漏らした。
「そ……そういうことですか、旦那! 気が付きませんでしたよ、すみません。こりゃ世継ぎができるのも近そうだなぁ」
「…………」
エドモンドはさらにむっつりと口を引き結び、何も答えなかった。
斧を持つ手に、思わず力が入る。
今朝やっと数日振りに、オリヴィアから目を離すことに成功したというのに、運命はそう簡単にエドモンドを許してはくれないらしかった。
オリヴィア、オリヴィア、オリヴィア。
まるで世界が彼女で溢れているようだ。
しかし、歩き出したエドモンドを、一人の青年の声が止めた。
「エドモンドの旦那、仕事とは関係ないんですが──」
新しい柵をめぐらす役目をいいつかった若い小作人が、道具を肩に乗せながら、エドモンドの横を歩いて言う。
「俺たちゃ、最近、旦那の様子を心配してるんですよ。今日もまた顔色が悪いじゃねえですか」
青年に悪気がないのは分かっていたが、エドモンドはむっつりと答えた。
「及ばない。少し疲れているだけだろう」
「だったら休んだ方がいいんじゃねえですか、旦那。一日くらい休んでも罰は当たりませんよ」
「俺も新婚のころはそんなだったさぁ!」
遠くから、別の小作人が行儀悪く口を挟んだ。「奥さんがしつこくってね。今じゃ、俺が誘っても見向きもしないくせにさぁ!」
すると青年は、あぁ、と納得の声を漏らした。
「そ……そういうことですか、旦那! 気が付きませんでしたよ、すみません。こりゃ世継ぎができるのも近そうだなぁ」
「…………」
エドモンドはさらにむっつりと口を引き結び、何も答えなかった。
斧を持つ手に、思わず力が入る。
今朝やっと数日振りに、オリヴィアから目を離すことに成功したというのに、運命はそう簡単にエドモンドを許してはくれないらしかった。
オリヴィア、オリヴィア、オリヴィア。
まるで世界が彼女で溢れているようだ。


