Lord of My Heart 〜呪われ伯爵の白い(はずだった)結婚〜

「私の好みですわね」
「ちょっと童顔だけど」
「まぁ、それも大歓迎よ。そのくらいのほうが、より強く殿方の心を掴むものですわ」
「その通り。彼女はすっかり我が兄上の心を掴んでいるみたいなんだ」

「では、伯爵夫人はどうして私のお店にいらしてくださらないのかしら。ノースウッド伯爵は堅実な方ですけど、新しくできた奥様の衣装代をケチるような、しみったれた男ではなかったと思うわ」
「問題はそこだよ、マーガレット」

 ローナンはそう言って、側にあった棚の枠に背を預けると、両腕を胸の前で組んだ。

 マーガレットは片眉をあげ、気取った飼い猫のような視線をローナンに向ける。これは、言葉を選んで話さないと痛い目を見そうだな……と、ローナンは思った。