ぐーたら令嬢は北の修道院で狂犬を飼う


「本当に彼を連れて帰るのですが?」
「ええ、力持ちだし、ちょうどいいわ。それに、案外いい子よ」
「おれ、いいこ」
「うんうん、いい子いい子」

 わたしは男の頭を撫でた。

「さあ、帰りましょう! 我が家に!」

 こうしてわたしは、王家の秘密である王子を手に入れたのだ。

 ◇◆◇

 わたしは思わず叫んだ。

「イ、イケメンじゃない!」

 小汚い石を拾って磨いてみたら、宝石だった。
 艶やかな黒髪。腰まで伸びていた髪は短く切った。そうしたら、黒のヴェールの下から整った顔が現れたのだ。
 陽にあたってないから色白だけれど、引き締まった肉体。
 年はわたしと同じくらい? 少し年下にも見える。普通の生活をしていたわけではないから、正直見た目だけでは年齢は当てられなさそう。
 本人に聞いても、一年という概念すら理解していない可能性がある。
 まあ、そんなことはわたしにとってはどうでもよかった。
 体力があってイケメンな人材が手に入ったのだもの。少し教育が必要なのは想定済みだわ。

「うう……」

 彼は不服そうに短くなった髪に何度も触る。
 わたしはほくそ笑んだ。

「いい買い物をしたわね」

 買ったわけではないけれど。塔から連れ出したのだから、似たようなものだろう。
 最高のできだ。