光高は出口に向かって歩き出した。

秘書課の電気を消して、ドアを開けてつぐみをエスコートした。

つぐみは光高に着いていくしか、選択肢はなかった。

車に乗ると、光高はつぐみに一つの提案をした。

「夕飯、まだだろう、俺もこれからだから、一緒にどうだ」

「いえ、私は大丈夫です」

そう言いかけて、お腹の虫がなった。

光高は大声で笑った。

「ごめん、タイミング良すぎるだろう」

つぐみは恥ずかしくて、俯いたまま、何も言えずにいた。

そして、光高の行きつけのレストランへ向かった。

(緊張するなあ、まさか、社長と食事するなんて)

「好きな物頼んでくれ」

つぐみはメニューを開くと、見たこともない数字が並んでいた。

(やばい、給料前で、お金ない)

つぐみが困っているのを察して、光高は透かさず声を掛けた。
「俺が誘ったんだから、支払いの心配はしなくていいよ、給料まえだもんな」