スノードロップを供えて

昨夜、私の友人は死んだ。

殺された。


誰に?


私に。


海に突き落としたの。暗く冷たい海の底にね。

落とす前に、耳元でこう言ってあげた。

「あの時のこと、覚えてる?」

友人は全部忘れてしまっていたみたいで、固まって黙っていたけどね。

あんなことをしたのに、忘れちゃうなんて。

私は友人の背中を強く押した。

痛くて、苦しくて、もがいて、足掻いて。

海の波が暴れて、貴方が必死になってるのは十分伝わったよ。

ねぇ、苦しい?

息出来る?あぁ、出来るわけないよね。可哀想。

誰も助けてくれないね。


ねぇ、貴方は昔、私にこんなことをしたよね。