【マンガシナリオ】学園2位のイケメン幼なじみに好きな子がいるようなので、私が告白の練習相手になるよと提案してみた結果



○教室(放課後)



帰ろうとしない美津理にミイが声をかける。


ミイ「みづりん帰ろー」

美津理「ごめんミイ、今日は先に帰ってて。図書室に寄ってから帰ろうと思って」

ミイ「つきあおっか?」

美津理「大丈夫、探したい本があって遅くなると思うから、ひとりで行くよ」

ミイ「えー、一緒に行くよ~。あ、でも……やっぱ先に帰るね」



話している途中でミイは何かを思い出したような表情になり、「ばいばーい」と手を振って帰っていった。

鼻歌を歌いながらスマホでメッセージを書いているミイ。

図書室にいる朔弥のスマホが震えて、メッセージの着信を告げている。

朔弥がスマホを見ると『朔にい図書室で勉強してるよね』『みづりん図書室に行くって』とミイからメッセージが届いていた。

だが美津理は図書室へは行かず、サッカーをしている埜永の姿を教室から見ている。

埜永の部活が終わり、埜永と美津理が校門の方へ向かう。

ふたりが並んで歩いている姿を図書室の窓から見つけた朔弥は、すぐに荷物を片付けて図書室を出た。



埜永「告白ってさ……」



埜永が話し始めたので、美津理は埜永の方を見る。



埜永「一緒にでかけて、良い雰囲気になったところでするパターンも多いと思うんだよね」

美津理「言われてみればそうかも」

埜永「だから練習のために、今度一緒に遊園地にいこ」

美津理「遊園地……」



美津理(バス一本で行けるから、小学生のころ埜永とよく一緒に行ったなぁ……)



美津理「いいよ、埜永が部活休みの日に遊園地いこ」

朔弥「いいなぁ、俺も行きたい」



ふたりに追いついた朔弥が、埜永と美津理の間からふたりの肩に手を置いた。



美津理「あれ、朔弥くん?」

朔弥「美津理ちゃん今日はミイと一緒じゃないんだね」

美津理「う、ん。そうなの」

朔弥「美津理ちゃんと遊園地、楽しみだなぁ」

美津理「あのね朔弥くん、ミイも誘っていいかな」

朔弥「もちろんだよ。ミイも喜ぶと思う」

美津理「よかった。遊園地楽しみだね、埜永」

埜永「うん……」



美津理(あれ、ミイも一緒なのに、どうしてそんな顔してるんだろ……)



浮かない表情の埜永に、美津理は心配そうな視線を向けている。





〇遊園地



楽しそうなアトラクションに目を輝かせる美津理とミイ。

そんなふたりに優しい笑みを向ける朔弥と、少しつまらなそうな表情の埜永。

美津理&朔弥ペア、埜永&ミイで絶叫系アトラクションにいくつか乗っている描写。

朔弥が美津理とミイにアイスを渡している絵。



美津理「久しぶりに来たけど、やっぱり遊園地は楽しいねー」

ミイ「ほんとほんと、アイスも美味しいし」

美津理「暑いから特に美味しい。もう9月下旬なのにね」



埜永と朔弥はキャップを被っているが、美津理は帽子を被っていない。

アイスを食べ終わり、四人で園内を歩いている。



ミイ「次、なに乗る~?」

美津理「なにがいいかなぁ」

朔弥「美津理ちゃんが好きなのでいいよ」



楽しそうな三人に比べて、埜永は表情が少ない。

そんな埜永を心配して、チラ、と美津理が視線を向けている。



美津理(前にふたりで来た時は、埜永ももっと楽しそうにしてたと思うんだけど……。それともあれは、小学生だったからそう感じたのかなぁ)



考えながら歩いていた美津理は、広場のステージ横に設置されている看板に気づく。



美津理(ん?)



目を見開くと、美津理は看板を指さした。



美津理「あれ、見たい」

朔弥「どれ?」

ミイ「え、アレを?」

埜永「おおっ!」



不思議顔の朔弥とミイの横で、埜永が目を輝かせていた。

美津理が指さした看板には『ノイチゴージャー特別コラボショー』と書かれている。

あと25分ほどで始まる時間。

広場の席には親子連れが少しずつ集まり始めている。

けれど高校生は、まったくいなかった。



ミイ「えー、本当に見るの? それなら他のアトラクションに行かない?」

朔弥「そうだね、美津理ちゃんもそうしない?」



ふたりの反応に、美津理は埜永の方を見る。

埜永は目を輝かせてうずうずしていた。

そんな埜永を見て、美津理は嬉しそうに微笑む。



美津理「私、これが見たい。ふたりはその間違うの乗ってきなよ。またあとで合流しよ」



ミイと朔弥に手を振って別れ、美津理と埜永はステージ前のベンチに座った。

最前列は小学生以下の子どものみの優先席になっている。




美津理「小6の時、ふたりで最前列のベンチに座ったね」



普段クールな表情の埜永が、ふはっ、と笑う。



埜永「小6になってもヒーローショーに付き合ってくれるのは美津理くらいだった」

美津理「楽しいのにね」

埜永「ああ。しかもノイチゴージャーとコラボなんて、すげぇ」



広場には太陽が照りつけている。

周りの人は皆、帽子を被っていた。



美津理(今日は暑いな……)



埜永「あと15分か、楽しみだ」

美津理「うん、楽しみだね」



美津理(のど渇いた……)



手に持っている空のペットボトルを見つめる美津理。



美津理(買いに行くって言ったら、きっと埜永が買ってくるって言うだろうし……人も増えてきたから、戻る頃にはステージが見えなくなっちゃう)



美津理の額に汗が光っている。



美津理(終わるまで30分くらいだから我慢しよ……)



埜永「今回はどこから登場してくると思う?」



興奮気味に話しかけながら美津理の方を見た埜永は、美津理の変化に気づく。



埜永「体調悪い……よな」

美津理「悪くないよ」



ニコ、と美津理は笑うが顔が青ざめている。

ちょうどその時、ステージ上にお姉さんが現れて、ショーの間の注意事項を話し始めた。



美津理「もうすぐ始まるね」



ニコ、と再び美津理が笑う。

次の瞬間、埜永は美津理をお姫様抱っこして「すみません、通してください」と言いながら木陰へと運んだ。

埜永は自分の身体に寄りかからせるようにして美津理を座らせると、ペットボトルを差し出した。



埜永「水、飲めるか」

美津理「それ埜永の分でしょう? 暑いし埜永が飲んだ方がいいよ」

埜永「俺のことはいいから」



埜永はクッと自分の口に水を含むと、美津理の顎を指でクイッとあげて口移しで水を飲ませた。