ギャルソンくん、


彼の目が、猫から私へと静かにスライドしてくる。


「ぼんやりしてたら、俺に攫われるんでしょ」


そして煽ってくる。

妖しく細められた真っ黒な瞳が試すように意地悪く、からかうように冗談っぽく。



「……ギャルソンくん、」


ようやく零れたのは、彼の呼び名。


みんなの噂話に交じって口にすることはあっても、まさかその本人に直接呼びかける日が来るなんて。……想像もしてなかった。