ギャルソンくん、


「メーテルくんと仲が良いんですね」

「そう見えた?」

「まあ、はい」


「周りには内緒ね。だれにも言わないで」

「え?……仲がいいことを、ですか?」


「そう、俺たちは不仲で売ってんの」

「不仲……で、うる?」

「仲悪い設定のほうが都合いいんだよね。“中”から見ても、“外”から見ても」



相変わらず口調が淡々としている。
私が追求することを拒んでいるみたい。


……へんなの。
その閉ざした場所へ私を攫う気でいるくせに。



「おいで。お望み通り俺が連れてってあげる」


差し伸べられた手に、私は、ためらいながらも指先を重ねた。