わかったか、と、その部分だけを諭すように強調して。
メーテルくんはその指先で、私の背中をゆっくりとなぞった。
「っ、ひゃぁ、」
「……へえ。声、可愛いな」
近すぎる距離。耳元で甘く囁かれる声。
体が熱を帯びていくのがわかる。
もう何がなんだかわからない。
わたしとメーテルくんは初対面で……。それなのに、この状況はいったい。
頭が白く染まりかけた寸前、
「ストップ」
私たちの体はギャルソンくんによって引き離された。
「ごめんごめん。メーテル君はたまに他人との距離感壊れるんだよ」
と、特に申し訳なさそうな素振りもなく言われ、困惑しつつ、ひとまずはあいまいに頷く。
……助かった。
このままじゃ息もできないところだった。
「違うだろ感謝しろよ。お前がオンナ泣かせなくて済むように、おれがはからってやったんだから」
「俺がいつオンナ泣かせたよ」
「白々しい。死ね」



