「あゆちゃんてギャルソンとメーテルと同じ学校なんだよね? どっちかと喋ったことあったりする?」
合コンが始まって1時間ほどが経ち、場が和んできたころ。
私の隣に座る男の子がそんなことを聞いてきた。
名前は……タクミくん、だったはず。
「……、いやあ、あるわけないよ〜」
「ま、そうだよな。月皇ってそういうの厳しいらしいし」
「そういうの……?」
「色恋だよ。“外”の女と関わり持ったらペナルティがくだるとか……ナントカ?」
「え、そうなの?」
それは……知らなかったな……。
かすかに血の気が引いた。
いやいや大丈夫でしょ。
ここに来る前に喋ったとはいえ、ほんの、ひとことふたこと、だし?
それも、私がギャルソンくんの飼い猫であるミルを勝手に撫でくり回して話しかけるという不審者まがいなことをしてたから、声を掛けられたってだけだし。
そう、特別なことは何もない。



