今だって、本当は謝るつもりだったのに。きっと謝るべきだったのに。
(なんで言い返してるんだ、私…)
「…変なヤツ」
「…あ、ご、ごめん」
「…」
「頭冷やさなきゃいけないの、私の方かも」
苦笑して呟く。
「…なんであんたが謝んの」
「…」
「そっちが謝るからひたすら俺が悪役じゃん、やめてよ」
「…ごめんなさい」
「ほらまた」
「…ごめんなさい」
「……面白がってやってんだろ」
羊ちゃんはそんな私に、少し笑いながらそう言って
すっかり短くなったタバコを地面に擦り付けた。
彼が笑ってくれたことで、私の心も幾分か冷えてくれたような気がした。
「そういえば名前、ちゃんと聞いてなかったね」
「…聞いてくれるんだ」
「俺だけ知られてるのはフェアじゃないでしょ」
どうやら名前に公平さを求めるらしい謎な真面目ヤンキー、羊ちゃん。
さっきはあんな言い方をされたけど、彼が悪い人じゃないんだということははじめから何となくわかっていた。
一旦和解できた、ってことで良いんだろうか。
「皆瀬 小夜」
「…皆瀬」
「ちゃんと聞いたんだからちゃんと呼んでね、羊ちゃん」
「俺は“羊ちゃん”なんだな」
「羊くんが良い?」
「…いや、」
「いいでしょ、同級生なんだし」
「……もういいよ、なんでも」
