「じゃあ、」
「――あ、ちょっと」
ちょっと待って。淡泊な彼が、立ち去ろうとした私の足を止める。
「うん?」
「あの、あんた一体、」
「…」
「…誰ですか?誰かの彼女?」
小さく顔を歪める彼。私は誰の彼女でもない。
友達?それも少し違う。仲間でもない。
色々な選択肢を吟味していると唐突に、私の中に悪心が芽生えるのを感じた。
彼等の困った顔を見たい。私の中の私が、小さな声で、けれどたしかに、そう呟く。
「…うーん、なんだろ」
「…」
「強いて言うなら」
「…」
「ただの走り屋。筋金入りのね」
「……は?」
どうせあとでちゃんと挨拶することになる。
今は先を急ぐべきだ。
呆けた顔で私を見つめる三人を残し、踵を返す。
「じゃあ、またあとで!」
「や、ちょ」
「教えてくれてありがとう」
(私ももう少し、話していたいんだけど)
ひどく後ろ髪引かれる思いで、私は彼らに背を向けた。
「さっきの、どういう──」
掠れた彼の問いかけは
羊ちゃんの吐き出すタバコの匂いに、消えていった。
