君の瞳にこの愛を捧ぐ〜凄腕眼科医の執着愛〜


「私、こういう居酒屋さんあまり来た事がなくて…1人じゃなかなか来れないですし楽しいです。」
今夜は時間が遅かった為、病院近くの店はこの居酒屋しか空いてなかった。

如月としては本当は2人でゆっくり話せるような、落ち着いたレストランが良かったのだが、仕方なく妥協して入った店だったが、千紗がこんなに楽しそうだから良かったと安堵した。

後は変な酔っ払いに絡まれないようにしなければと先程から目を光せている。いつだってどこにいたって彼女の美しさは目立つ。本人にその自覚が無いから困るのだが…。

先程から千紗側に座るサラリーマン風の男達が、チラチラと千紗を見て何やら話している姿が気になり、如月はずっと警戒している。

「先生、お酒は飲まないんですか?」
明日は休みだけれど、千紗をちゃんと送り届けるつもりでいるから酒はやめておいた。

「俺はいい。飲んでも酔わないから、そう好んで飲む方では無いんだ。千紗が飲みたいなら、遠慮しないで頼んでいいよ。」
酒の種類を教えてあげようと、タブレットの音声機能を押して聴かせる。

騒つく店内で聞き取りにくいのか、顔を傾けて髪を掻き分け、タブレットの声に集中している仕草がやたら色っぽく見えて、如月の心拍がドキッと踊る。

何かいけないものを見ている気持ちになるのは俺だけだろうか…?
警戒して注意深く周りを探れば、同じようにときめいて彼女を見ている男が数人いる事に気付く。

次来る時は個室を予約しようと、如月は心に決めた。

タブレットと睨めっこして吟味した千紗は、結局、味を知っているカシスサワーにする。

千紗だってあまりお酒は強く無い。迷惑をかけてしまうといけないから、普段は外では決して飲まない。
だけど…隣に如月が居る安堵感と場の雰囲気に流されて、今夜は飲んでみたい気持ちになった。

「私、外で飲むの初めてです。…嬉しい。」
如月と軽く乾杯して、カシスサワーをひと口口に含む。嬉しさのあまり溢れ出る笑顔が可愛らしくて、如月もつられて微笑む。

もちろん如月はノンアルコールだ。
今宵は彼女のボディガードに徹すると決めている。