苛立ちを隠せない如月は足早に千紗の待つ中庭に向かう。するとなぜが東家から笑い声が聞こえてくる。
誰だ?こんな時間に人が来るはずないと、思っていたんだが…。
如月は不安に駆られながら足早に東家に近付くと、
「アイツは何の為に駅まで走ったんだ?まだ俺の土産を渡してないなんて。」
ワッハハ…と豪快に笑う声を聞き、なんだこの人か…と肩の力を抜く。
「佐久間先生…まだお帰りになってなかったんですか?こんなところで油を売ってたら奥様に叱られますよ。」
如月は嫌味の1つも言いたくなり、佐久間に詰め寄る。
「千紗ちゃんが俺の土産をまだもらって無いって言うからさぁ。」
佐久間の揶揄うような目線を気にする事無く、如月はポケットから小さな紙袋を出し、千紗の手のひらに渡す。
「しかし…この土産はどうかと思いますよ。彼女にはちょっと不釣り合いな気がします。」
そう言って千紗の隣に座る。
「失礼な。僕は千紗ちゃんの事を思って選んだんだから。」
小競り合いのような大人げないいい争いを2人の医師がし始めるから、千紗はそれをなんとか穏便に止めたくて、焦り気味に声をかける。
「佐久間先生、ありがとうございます。さっそく開けてもいいですか?」
中身が気になった千紗はその場で開けてみる事にする。中から出てきたのは、小さな固い石のような物に紐を通して作ったストラップのようだった。
千紗は手探りで石らしき物の形を探る。
「これは…ストラップですか?」
「そう!よくか分かったね。ニュージーランドの原住民、マオリ族のお面を模った翡翠なんだ。なんでも災いを跳ね除ける力があるそうだ。」
自慢げに佐久間がそう言うと、
「無理して付けなくてもいいからな。見た目がまるで鬼瓦…いや般若のような顔のお面だ。千紗が身に付ける物にはさすがに似合わないと思う。」
如月が抵抗して負けずにそう言う。
「でも、翡翠で出来てるんですよね。きっと緑色に光って綺麗でしょう?」
千紗の想像ではさほどおかしいとは思わないから、
「綺麗…といえば綺麗だが、般若だぞ?」
よっぽど千紗に身につけさせなくないのか、如月はそう言って説得してくる。
「お守りなんですよね。それなら大切に扱わなくっちゃ。私、スマホに付けます。」
千紗は嬉しそうにそう言ってスマホをカバンから取り出した。
「おお!!そうか。やっぱり千紗ちゃんは気に入ってくれると思ったんだ。じゃあ、僕が付けてやろう。」
喜んだ佐久間が千紗からストラップとスマホを受け取り、月明かりを頼りに小さな穴に通そうと四苦八苦している。
「俺がやります。佐久間先生は老眼なんだから無理しないでください。」
如月がすかさず、恩師に向かってかなり失礼な事をサラッと言いながらも、千紗のスマホとストラップを奪いいとも簡単に紐を通した。
ピンクのスマホケースにイカついお面…
チグハグな組み合わせなのだが、千紗が嬉しそうにしているから、もう否定は出来ないと如月は諦めたようだった。
「ああ、ちょうど君にも同じものを買って来たんだ。もう誰かからスマホをイタズラされないように、君こそ付けた方がいいんじゃないかな?」
佐久間が楽しげに如月に目配せまでしてストラップを押し付けてくる。ちなみに如月のストラップの紐の色は青で千紗のは赤だ。
色違いのお揃いだが…
如月はこのイカついお面を見つめ少し躊躇するが、彼女とお揃い…その魅力的な言葉に負けて、無言で自分のスマホに取り付けた。
「おお、いいねー。まるでカップルみたいだ。これで2人にはこれ以上災いが起こらないと思うよ。良かった良かった。それじゃあ、邪魔者はお先に失礼するよ。」
佐久間は満足げに笑いながら去って行った。
誰だ?こんな時間に人が来るはずないと、思っていたんだが…。
如月は不安に駆られながら足早に東家に近付くと、
「アイツは何の為に駅まで走ったんだ?まだ俺の土産を渡してないなんて。」
ワッハハ…と豪快に笑う声を聞き、なんだこの人か…と肩の力を抜く。
「佐久間先生…まだお帰りになってなかったんですか?こんなところで油を売ってたら奥様に叱られますよ。」
如月は嫌味の1つも言いたくなり、佐久間に詰め寄る。
「千紗ちゃんが俺の土産をまだもらって無いって言うからさぁ。」
佐久間の揶揄うような目線を気にする事無く、如月はポケットから小さな紙袋を出し、千紗の手のひらに渡す。
「しかし…この土産はどうかと思いますよ。彼女にはちょっと不釣り合いな気がします。」
そう言って千紗の隣に座る。
「失礼な。僕は千紗ちゃんの事を思って選んだんだから。」
小競り合いのような大人げないいい争いを2人の医師がし始めるから、千紗はそれをなんとか穏便に止めたくて、焦り気味に声をかける。
「佐久間先生、ありがとうございます。さっそく開けてもいいですか?」
中身が気になった千紗はその場で開けてみる事にする。中から出てきたのは、小さな固い石のような物に紐を通して作ったストラップのようだった。
千紗は手探りで石らしき物の形を探る。
「これは…ストラップですか?」
「そう!よくか分かったね。ニュージーランドの原住民、マオリ族のお面を模った翡翠なんだ。なんでも災いを跳ね除ける力があるそうだ。」
自慢げに佐久間がそう言うと、
「無理して付けなくてもいいからな。見た目がまるで鬼瓦…いや般若のような顔のお面だ。千紗が身に付ける物にはさすがに似合わないと思う。」
如月が抵抗して負けずにそう言う。
「でも、翡翠で出来てるんですよね。きっと緑色に光って綺麗でしょう?」
千紗の想像ではさほどおかしいとは思わないから、
「綺麗…といえば綺麗だが、般若だぞ?」
よっぽど千紗に身につけさせなくないのか、如月はそう言って説得してくる。
「お守りなんですよね。それなら大切に扱わなくっちゃ。私、スマホに付けます。」
千紗は嬉しそうにそう言ってスマホをカバンから取り出した。
「おお!!そうか。やっぱり千紗ちゃんは気に入ってくれると思ったんだ。じゃあ、僕が付けてやろう。」
喜んだ佐久間が千紗からストラップとスマホを受け取り、月明かりを頼りに小さな穴に通そうと四苦八苦している。
「俺がやります。佐久間先生は老眼なんだから無理しないでください。」
如月がすかさず、恩師に向かってかなり失礼な事をサラッと言いながらも、千紗のスマホとストラップを奪いいとも簡単に紐を通した。
ピンクのスマホケースにイカついお面…
チグハグな組み合わせなのだが、千紗が嬉しそうにしているから、もう否定は出来ないと如月は諦めたようだった。
「ああ、ちょうど君にも同じものを買って来たんだ。もう誰かからスマホをイタズラされないように、君こそ付けた方がいいんじゃないかな?」
佐久間が楽しげに如月に目配せまでしてストラップを押し付けてくる。ちなみに如月のストラップの紐の色は青で千紗のは赤だ。
色違いのお揃いだが…
如月はこのイカついお面を見つめ少し躊躇するが、彼女とお揃い…その魅力的な言葉に負けて、無言で自分のスマホに取り付けた。
「おお、いいねー。まるでカップルみたいだ。これで2人にはこれ以上災いが起こらないと思うよ。良かった良かった。それじゃあ、邪魔者はお先に失礼するよ。」
佐久間は満足げに笑いながら去って行った。



