「久しぶりに走ったら腹が減ったな。千紗は、夕飯まだだったら一緒にどう?」
「はい。まだ…ですけど。如月先生はもう帰られそうなんですか?」
ああ…そうだ…
海外出張から帰って来たばかりの佐久間医師を捕まえて、千紗に連絡を取ってもらい居場所を聞いてもらった。
やっと繋がった千紗に会いたいと思う気持ちが強すぎて、佐久間医師から渡された変な土産とスマホだけを持って、病院から飛び出して来てしまったのだ。
如月は我に返り頭を抱えた。
「慌てて出て来たから、カバンも財布も何もかも置いて来てしまった。」
ハァーと、ため息をついて言う如月がなんだかとても可愛く見えて、千紗はふふふと笑ってしまう。
「笑い事じゃないんだが…。俺の不手際で君のスマホの番号を消されてしまったんだ。だから連絡を取りたくても出来なくて、直接会いに行こうと思っても分刻みにスケジュールが埋まってるから、自由な時間も無くて途方にくれていた。」
ため息混じりでそう言うと、千紗の手をぎゅっと握ってくる。千紗はドキンとしながらもその手の温もりに、今までの不安が拭い去り安堵する。
「…お察しします。オペレーションセンターの方にも先生への問い合わせ電話が増えて、回線を増設しオペレーターも1人増えたんです。シンポジウムの反響がそこまでとは…驚きました。」
「本当だよ。これじゃあ、医師としての仕事もままならなくて支障をきたしてしまいそうだ。…とりあえず、もう一度君のSMSのアドレス教えて欲しいんけど…」
「…はい。アプリに何度かメッセージを送ったんですけど、既読が付かなくて…お身体でも壊されたのかと心配してました。」
千紗はアプリを立ち上げながら、不安だった気持ちを素直に打ち明ける。
「そう、だよな…心配させてごめん。俺にとってスマホはただの通信手段でしかなかったが、こうなって初めて大切さを知った。」
「私なんてスマホ無しでは生きられませんから。あの…これ、私の携帯番号なんですけど、良かったら写真送りますよ。」
千紗だって今回の事で、如月との唯一の繋がりを突然絶たれてしまう事の怖さは十分味わった。
もう2度とあんな思いはしたくない。
「ありがとう。ちょっと見せて、今暗記する。」
スマホを握る手ごと取られて如月の大きな手に包まれる。ふいに急接近した距離の近さに千紗の心臓がドキンと踊る。
ほんの2、3分だったと思うが、千紗にはとても長く感じられた。
「ありがとう。ついでにアドレスも暗記した。これで2度とこんな事は無いから。」
今まで正直、誰かが勝手にスマホの中を見るなんて事があるとは思っていなかったから、誰でも開ける状態だったのは如月自身の落ち度だ。
だが…
あの秘書…私は知らないと、シラを切ったが…2度と触らせてたまるか。
二重ロックもかけて誰にも開かせない状態にした。
如月がここまでプライベートを死守する事は今までなかった。基本的に仕事人間でプライベートより仕事を優先するタイプだったから…。
でも、今は何よりも誰よりも守りたい者が出来た。
自分でもどうしようもなく彼女に執着している自覚はある。その気持ちになんとか折り合いをつけて、自分自身を無理矢理制御している状態だ。
如月はそんな事を思いながら、今隣にいる千紗に触れたい衝動と戦っていた。
とりあえず、ずっとプラットホームで喋っている訳にはいかないと、千紗を連れて病院へと戻る。
病院の中庭にある東家に千紗を待機させて、急ぎ荷物を取りに眼科医局にと足早に歩く。
「はい。まだ…ですけど。如月先生はもう帰られそうなんですか?」
ああ…そうだ…
海外出張から帰って来たばかりの佐久間医師を捕まえて、千紗に連絡を取ってもらい居場所を聞いてもらった。
やっと繋がった千紗に会いたいと思う気持ちが強すぎて、佐久間医師から渡された変な土産とスマホだけを持って、病院から飛び出して来てしまったのだ。
如月は我に返り頭を抱えた。
「慌てて出て来たから、カバンも財布も何もかも置いて来てしまった。」
ハァーと、ため息をついて言う如月がなんだかとても可愛く見えて、千紗はふふふと笑ってしまう。
「笑い事じゃないんだが…。俺の不手際で君のスマホの番号を消されてしまったんだ。だから連絡を取りたくても出来なくて、直接会いに行こうと思っても分刻みにスケジュールが埋まってるから、自由な時間も無くて途方にくれていた。」
ため息混じりでそう言うと、千紗の手をぎゅっと握ってくる。千紗はドキンとしながらもその手の温もりに、今までの不安が拭い去り安堵する。
「…お察しします。オペレーションセンターの方にも先生への問い合わせ電話が増えて、回線を増設しオペレーターも1人増えたんです。シンポジウムの反響がそこまでとは…驚きました。」
「本当だよ。これじゃあ、医師としての仕事もままならなくて支障をきたしてしまいそうだ。…とりあえず、もう一度君のSMSのアドレス教えて欲しいんけど…」
「…はい。アプリに何度かメッセージを送ったんですけど、既読が付かなくて…お身体でも壊されたのかと心配してました。」
千紗はアプリを立ち上げながら、不安だった気持ちを素直に打ち明ける。
「そう、だよな…心配させてごめん。俺にとってスマホはただの通信手段でしかなかったが、こうなって初めて大切さを知った。」
「私なんてスマホ無しでは生きられませんから。あの…これ、私の携帯番号なんですけど、良かったら写真送りますよ。」
千紗だって今回の事で、如月との唯一の繋がりを突然絶たれてしまう事の怖さは十分味わった。
もう2度とあんな思いはしたくない。
「ありがとう。ちょっと見せて、今暗記する。」
スマホを握る手ごと取られて如月の大きな手に包まれる。ふいに急接近した距離の近さに千紗の心臓がドキンと踊る。
ほんの2、3分だったと思うが、千紗にはとても長く感じられた。
「ありがとう。ついでにアドレスも暗記した。これで2度とこんな事は無いから。」
今まで正直、誰かが勝手にスマホの中を見るなんて事があるとは思っていなかったから、誰でも開ける状態だったのは如月自身の落ち度だ。
だが…
あの秘書…私は知らないと、シラを切ったが…2度と触らせてたまるか。
二重ロックもかけて誰にも開かせない状態にした。
如月がここまでプライベートを死守する事は今までなかった。基本的に仕事人間でプライベートより仕事を優先するタイプだったから…。
でも、今は何よりも誰よりも守りたい者が出来た。
自分でもどうしようもなく彼女に執着している自覚はある。その気持ちになんとか折り合いをつけて、自分自身を無理矢理制御している状態だ。
如月はそんな事を思いながら、今隣にいる千紗に触れたい衝動と戦っていた。
とりあえず、ずっとプラットホームで喋っている訳にはいかないと、千紗を連れて病院へと戻る。
病院の中庭にある東家に千紗を待機させて、急ぎ荷物を取りに眼科医局にと足早に歩く。



