君の瞳にこの愛を捧ぐ〜凄腕眼科医の執着愛〜


東京での恋人のような時間を過ごして早1ヶ月が過ぎた。

あれから如月の評判が鰻登りに上がり、国内外からのオファーや取材の話し、患者からの問い合わせや、手術の依頼等が引っ切りなしに入るようになった。

テレフォンオペレーターである千紗にも、そのオファーの量は驚くべきもので、電話対応もままならず通常業務が回らなくなり始めた為、また一人オペレーターを増やして対応せざる追えなくなった。

そして、あの日から一度も如月本人には会えていない。

それもそのはず、この病院の理事長の娘である椎名香が彼の秘書のような仕事をし始めてから、如月の自由を全て奪ってしまったかのように、食堂にも中庭にも病院の眼科医局以外で彼の姿を見かける事が出来なくなってしまった。

それでも東京から帰って来た当初は、如月から千紗にメッセージが何度か届いたから、たわいもないやり取りをしていたのに…それも2週間ほど前からパタリと途絶えた。

どうしたのだろうか…?

と、千紗は如月を慮る。
体調を崩して休んでいれば、まず病院内に噂が回っているだろうし、噂好きな麻里奈から直ぐに千紗に情報が入る筈だ。

『お身体大丈夫ですか?』

『病院内でお見かけしないので心配しています。』
あれから何度かメッセージを送ったが全てに既読が付かなかった。

何かあったのかな…とは思う。
彼はどんなに忙しくても、たとえ当直の日だとしても、少しの休憩で必ず返信をくれるようなマメな人なのだから。

この数ヶ月だけだけど、先生の人柄は良く分かったつもりだった…そう、思ってたのは私だけ…なのかな?
ただ単におもしろがられて、揶揄われてただけなのかもしれない…

なんてネガティブな事まで考え出してしまう始末だった。