君の瞳にこの愛を捧ぐ〜凄腕眼科医の執着愛〜

(如月 涼side)
なんなんだ!?
なんて無防備な姿を…簡単に曝け出す…?

苛立ちを隠せず言い放って来たけれど…。
冷静になって考えてみれば彼女には何の落ち度もないのか…?
とも思う。

勝手に舞い上がって、勝手に時間も考えず行ってしまったのはこの俺で、彼女はただそれを出迎えてくれただけで…。

朝からホテルに備え付けのロングパジャマ1枚を羽織っただけの姿を見せられ、勝手に煽られたのは俺の方だ。

備え付けのパジャマにはズボンが無く、モモ下程の丈があるフリーサイズのパジャマしかなかった。それを着ただけで彼女に何の落ち度もない。

強いて言えば、見下ろすくらいの背丈の違いで胸の谷間や無造作に束ね上げたうなじの白さに、たたみ付けるかのように、パジャマのスリットから見えた白い太ももに、反応したのは俺の男たるサガのせいだ。

また、思い出しただけで身体が反応しそうになり、ハーッと深いため息を吐く。
昨夜、つい勢い余って告白のような事を言ってしまい、それをサラッと彼女に冗談かのように流されてしまった。

見切り発車は否めないが、かと言って本気に捉えられないのは、彼女が持つ俺のイメージの悪さのせいか…?

いや、この気持ちは隠し続けるつもりだった。少なくとも彼女が角膜移植を決意してくれるまでは、医者という立場を崩してはいけなかったのだ。

不甲斐ない自分を戒める。近付けば近づくほど自分を制御出来ずに、ほぼ無意識に触れたくて離れたく無くて、誰にも触れて欲しくない。そんな幼稚な独占欲で頭が支配されてしまう。

俺の人生において唯一無二の存在であり、何をおいてでも彼女が最優先事項であるのは変わる事ない事実だ。

つまりは…それが愛だというならそういう事だ。

ホテルのロビーにいち早く着いた俺は、彼女が来るのをまだかまだかと待ち構える。それでも平静にならなければと、スマホを開き、昨日のシンポジウムのコラムなんかを読んでみる。

大盛況で終わったらしく、来場者数も1万人を超えたらしい。その何割かでも貢献出来たのならば、今回参加して良かったと思う。
頭を仕事に切り替えれば何の事はない。今朝の衝撃的な出来事は忘れられるだろうと、心を落ち着けた。