コツコツとヒールの音も変わり、控え室に向かう廊下に反射している。少しだけ心ぼそさを感じ始めた頃、前方からトントントンと早足気味に聞こえて来る足音に、ドクンと勝手に心拍が上がる。
「松原さん、迎えに行けなくて申し訳ない。大丈夫だった?」
心配症の如月先生が近づいて来て、私の手を取り気遣ってくれる。
「お疲れ様でした、大丈夫です。
それよりも、とても貴重なお話し為になりました。ありがとうございました。」
冷静を保って、先程のトーク会の感想を伝えると、
「…良かった…。」
と、如月先生がほっとしたように呟く。
「先生、今日はお礼も兼ねてこの後、ご一緒にお食事でもいかがですか?今後のお話しも兼ねて。」
篠原さんは先程私に向けた辛辣さは影をひそめ、如月先生には猫撫で声を出して誘っている。
「申し訳けありませんが、今日は早めに帰らないと仕事も溜まってますので。」
如月先生は変わらずの塩対応で、分かりやすくこの場を離れたい雰囲気を醸し出す。
「せっかくですしお食事だけでも、父も一度お会いしたいと申してます。これからの大事なお話しもありますし。」
なかなか引かない篠原さんはそう言いながら、如月先生に気付かないように、ツンツンと私の背中を肘で突いてくる。
「…えっと、私だったら1人で帰れますし…大丈夫ですよ。お気になさらず。」
どうやら篠原さんに加勢しなくちゃいけないんだと察し、如月先生に先に帰りますオーラを出してみる。
「いや、君の事は佐久間医師から重々お願いされてるんだ。1人で帰したなんて知れたら俺が怒られる。」
そんな風に言われると、私から断われなくなってしまう。
「彼女…佐久間先生のお知り合いなの?」
篠原さんの声のトーンが一気に低くなった気がして、背筋が凍り付くのを感じた。
「彼女の事を佐久間医師が娘同然に思っているんです。俺なんかよりよっぽど仲が良いですから。それでは、我々はこれで失礼させて頂きます。」
サラッと如月先生はそう言って、私の手を取り踵を返す。
「き、如月先生。私本気ですから。貴方の事諦めませんから。」
執念だというべきか…その積極性を少し羨ましいなと思ってしまう。
「…こちらも、全力で拒否させて頂きますから。」
呆れたようにそう言って、如月先生は振り返る事も無くその場を後にした。
「松原さん、迎えに行けなくて申し訳ない。大丈夫だった?」
心配症の如月先生が近づいて来て、私の手を取り気遣ってくれる。
「お疲れ様でした、大丈夫です。
それよりも、とても貴重なお話し為になりました。ありがとうございました。」
冷静を保って、先程のトーク会の感想を伝えると、
「…良かった…。」
と、如月先生がほっとしたように呟く。
「先生、今日はお礼も兼ねてこの後、ご一緒にお食事でもいかがですか?今後のお話しも兼ねて。」
篠原さんは先程私に向けた辛辣さは影をひそめ、如月先生には猫撫で声を出して誘っている。
「申し訳けありませんが、今日は早めに帰らないと仕事も溜まってますので。」
如月先生は変わらずの塩対応で、分かりやすくこの場を離れたい雰囲気を醸し出す。
「せっかくですしお食事だけでも、父も一度お会いしたいと申してます。これからの大事なお話しもありますし。」
なかなか引かない篠原さんはそう言いながら、如月先生に気付かないように、ツンツンと私の背中を肘で突いてくる。
「…えっと、私だったら1人で帰れますし…大丈夫ですよ。お気になさらず。」
どうやら篠原さんに加勢しなくちゃいけないんだと察し、如月先生に先に帰りますオーラを出してみる。
「いや、君の事は佐久間医師から重々お願いされてるんだ。1人で帰したなんて知れたら俺が怒られる。」
そんな風に言われると、私から断われなくなってしまう。
「彼女…佐久間先生のお知り合いなの?」
篠原さんの声のトーンが一気に低くなった気がして、背筋が凍り付くのを感じた。
「彼女の事を佐久間医師が娘同然に思っているんです。俺なんかよりよっぽど仲が良いですから。それでは、我々はこれで失礼させて頂きます。」
サラッと如月先生はそう言って、私の手を取り踵を返す。
「き、如月先生。私本気ですから。貴方の事諦めませんから。」
執念だというべきか…その積極性を少し羨ましいなと思ってしまう。
「…こちらも、全力で拒否させて頂きますから。」
呆れたようにそう言って、如月先生は振り返る事も無くその場を後にした。



