君の瞳にこの愛を捧ぐ〜凄腕眼科医の執着愛〜

ドナー側、患者側の気持ちについて深掘りする中で、施術に関わる医師として伝えたい事を話して聞かす。

「患者様の中にはドナーに対しての罪悪感、不信感を抱く方も中にはいらっしゃいます。そのような方に私は、角膜移植は不幸にも事故や病気で亡くなった方の命を引き継ぎ、一緒に生きる事が出来る『いのちのリレー』なのだとお伝えさせて頂いています。

角膜は140年から160年機能すると言われています。その為年齢制限なくドナーになって頂く事が可能です。今日この話しを聞いて少しでも興味を持った方がいましたら、帰りにお配りしますパンフレットをご覧になって頂ければと思います。」

骨髄バンク同様角膜バンクがある事をもっと知って貰いたいと、切実にお願いして舞台の幕は閉じた。

俺が今回シンポジウムに参加した1番の目的をこれで果す事が出来、肩の荷をやっと下ろす事が出来た。

そして…彼女にはどう伝わっただろうか?

心配なのはその事だけだ…。
過剰な押し売りはしたくない。だけど少しでも聞く耳を持ってもらえたらと切に願う。

舞台を降りてその足で、足早に彼女がいる席へと向かう途中、
「如月先生!本日はありがとうございました。」
またか…。と、ため息が出てしまうほどだが…また、主催者側の女性スタッフに止められる。

態度をあからさまにして拒んでいるつもりなのだが…少しは察してくれ。と頭の中で叫ぶ。

「ありがとうございます。先を急いでおりますので…。」
そう言って女性スタッフを振り切りたいのだが、なかなか思うようにいかない。

「先程は素晴らしいお話ありがとうございます。…どちらに行かれるんですか?まだ観客が残っていますのに、先生が現れたらパニックになってしまいますわ。お連れの女性は私が連れて来ますので、しばらく楽屋でお待ち下さい。」

俺が彼女を迎えに行くとはひと言も言っていないのに、先回りして知ったであろう女性スタッフは俺が断る前にサッサと行ってしまった。

大丈夫だろうか…
余計な事を話さないといいのだが…。