君の瞳にこの愛を捧ぐ〜凄腕眼科医の執着愛〜

「如月先生は、ハンバーグがお好きなんですか?以前も食べていましたよね?」
そんな俺の心を察知したのか否か、彼女からそっと話しかけてくれた。

救いのような気持ちでそのたわいもない言葉を噛み締める。

「好きというか…なんとなく無難だからかな。つい頼んでしまう。ハンバーグが不味いって店はまずないから。」
彼女の反応を伺い見ながら慎重に、言葉を選ぶ。

「和食よりは洋食がお好きなんですか?」
彼女のたわいもない質問は続くから、探り探り当たり障りのない回答を繰り返す。

「私、如月先生は何か目的があって私に声をかけてくれたんだろうとは思っていたんです。」
オムライスを半分食べ終わった時点で、彼女がポツリと本題を話し出す。
俺は一気に身構えて、手に汗握りながら探り探り言葉を選ぶ。

「そういう訳では決してない…とは言い切れないが…。君の事は以前から佐久間医師を通して…知ってはいたんだ。
朝の電車で見かけたのが始めなんだけど…。」

半ば怯えながら、帰国してからの彼女との嘘偽りない全てを話して聞かす。

ただこのタイミングで、藤堂だとは名乗り出る勇気が無くて出来なかった。情け無い話し、彼女との今のこの距離感を失うのが怖くて必死だった。

「そうだったんですね。知らなかったとはいえありがとうございます。…ただ、以前にも伝えましたが…角膜移植をしたい気持ちは今は無くて…こんなに良くして頂いて申し訳ないのですが…。」
彼女はあくまでも自分の考えを崩さない。

「さっき言った事は忘れて欲しい。あまりにも自分勝手な押し付けだったと俺自身も思うから…。ただ、君との仲は変わらずでいたいんだ…身勝手だと思うけど…。」
祈るような気持ちで、乞うように正直な思いを伝える。

今の段階ではこれが精一杯だ。出来てしまった彼女との壁を少しでも取り払いたいと、必死になる。

「如月先生のお気持ちは分かりました。
こんな私を気にかけてくれる先生の優しさにはとても感謝してます。今までのお返しも出来ていませんし…先程の事で先生を少しでもお助け出来たならそれで良いです。」

少し考えたあと、微笑みを浮かべて彼女がそう優しい言葉をくれた。
心底ホッとしたのは言うまでも無い。

「良かった…。君は唯一の俺の癒しだから。」
つい本音を漏らしてしまうが、フフッと笑って受け流された。