君の瞳にこの愛を捧ぐ〜凄腕眼科医の執着愛〜

仕事で来ているはずなのに、こんなに楽しんで良いのかな?なんだか後めたい気がしてしまうほど、気付けば楽しんでしまっていた。

いくつかのブースを堪能して、次はいよいよ如月先生一押しの音と光の3D体験ができるというブースへと行く。

もはやこれはアトラクションだった。
如月先生に誘導されながら小さな箱のような薄暗い空間に2人で入る。そこには車のような2人掛け椅子があって、なぜが腰にシートベルトを装着する。

「えっえっ…⁉︎」
と私は戸惑い動揺していると、
「大丈夫。ちょっと椅子が音に合わせて上下するらしいけど、ジェットコースター程じゃないから。」
そう言う如月先生はなんだかとっても楽しそうだ。

「アトラクション…みたいな?感じなんですか?」
私はおっかなびっくりで、暗い場所が苦手なので人より怖さを感じてしまっていた。

「ああ、暗闇だから怖いよな。少しでも怖いと感じたら俺の手でも腕でもいいから掴まっててくれたらいいよ。」
 
私の怯えを察知して、如月先生が指を絡ませ手をぎゅっと握ってくるから、これは側から見たら恋人みたいに見えてしまうんじゃないかと、さっきまでとはまた違う意味でドキドキが止まらなくなる。

耳にはベッドフォンを取り付けられて、出発の合図と同時にパタンとドアが閉まる音を聞き、いよいよ椅子が動き出す。

ウィーンと上に持ち上がる感覚がして、足が床から離れてしまう。すると壮大な音楽に合わせて、チカチカと明るくなったり暗くなったり、まるで宇宙に向かうスペースシャトルのような感覚で、思わず如月先生の手をぎゅっと握り締めていた。

宇宙を彷徨う不思議な音を聞いたと思うと、シュンシュンと周りを隕石が飛び交うような音、ふわふわと椅子が上下に揺れたり、ビュンと突然耳近くで何か通り過ぎる音がする。

チカチカピカピカと光が通り過ぎると、びっくりして思わず先生の腕にしがみついてしまった。

そして最後にはプシューとミストが吹きかけられて、床にやっと足が付く。

「ふぅー。」
と、私は深く息を吐き、緊張でカチカチになっていた身体の力をやっと解く。
「大丈夫だった?気持ち悪いとかない?」
如月先生が私のベッドフォンを取りながら、心配してくれる。

「だ、大丈夫です。…面白かったです。」
余韻で頭がぼーっとしながら答えると、如月先生も安堵したみたいで私の頭をポンポンと撫ぜてきた。

周りが明るくなり、ドアがガチャっと開いてやっと現実に帰って来たような不思議な感覚だった。

「お疲れ様でした。いかがでしたか?」
担当スタッフの明るい声に如月先生が、
「なかなか考えられていて、面白かったです。」
と、答えている。その間も絡まれた指は離れる事なく握られているから、やり場がない気持ちで一杯になる。