君の瞳にこの愛を捧ぐ〜凄腕眼科医の執着愛〜

それからしばらく、佐久間医師のどうでもいい若かりし頃のモテ話しなんかを聞かされて、俺と彼女は苦笑いなんかしながら聞き流した。

「佐久間先生は今でもダンディでかっこいいと思います。」
彼女が話しの最中に、この酔っ払いのたぬき親父なんかを褒め称えるから、内心ムッとしながらグッと堪える。

「こんなたぬき親父に騙されない方がいい。」
俺としては面白く無くて、ついつい毒を吐いてしまう。

「如月先生も随分佐久間先生とは仲良しなんですね。親子みたいで羨ましいです。」
彼女がふと、そう言ってくる。

「むしろ親よりも厄介だよ…。今やお節介のただの酔っ払いだ。」
俺はしかめ面でそう返えす。

「いいか…お前…送り狼にだけはなるなよ。医師としての威厳は保て。」
もう既にべろべろの酔っ払いと化した佐久間医師は、よく分からない事をいい始めたので、下手に口を滑られてはいけないと内心慌気味に、

「何を言ってるんですか…。明日もありますし、そろそろお開きにしましょうか。」
と、強引に引っ張り立たせる。

「君も、なんか申し訳なかったね。佐久間先生の車だけど家まで送るからちょっと待ってて。」
そう言って、先に酔っ払いをどうにかしようと席を外す。

駐車場にある佐久間医師の愛車の後部座席に乱雑に酔っ払いを放り込んで、彼女が待つ所へと踵を返す。

すると店の入り口まで出て来た彼女が、数人の男共に絡まれているのが目に入る。俺は慌てて数歩飛びに店の玄関前の階段を駆け上がる。

「何か、俺の連れに用ですか?」
ぶっきらぼうに彼らと彼女の間に押し入って、困っているであろう彼女を背に隠し庇う。