これじゃあ拉致があかないと、たぬき親父からメニューを奪い彼女に正確にメニューの内容を伝える。
彼女は彼女らしくオーソドックスなチーズケーキと紅茶のセットを選ぶ。
「僕もバニラアイスとロゼワインをお願いするよ。」
俺が彼女の注文をウェイターに伝えていると、たぬき親父がすかさずそう言ってくる。
「飲み過ぎですよ…アイスだけにして下さい。明日も仕事なんですから。」
俺がすかさず咎めると、
「なんだよー。明日は出頭医じゃないんだからいいんだよ。」
と、たぬき親父が口を尖らせ拗ね始める。
面倒くさい酔い方を…と、俺は半ば呆れ顔でため息を吐く。
「佐久間先生、あまり飲まれると血糖値が心配です。奥様からもくれぐれも言われてますから。」
と、彼女が控えめながら加勢してくれる。
「アイスにはロゼがはよく合うんだが…千紗ちゃんにそう言われると弱いな…我慢するか…アイスだけでお願いするよ。」
と、たぬき親父があっさり折れる。
「あの、如月先生はデザートは良いんですか?」
心優しい彼女は俺の事まで気にかけてくれる。
「俺はもう充分です。それよりこんな時間に1人で大丈夫だった?夜暗いのに出歩くなんて危険だ…佐久間先生も少しは考えて下さい。」
夜の外出は健常者より人1倍怖かったのではないかと心配になってしまう。
「タクシーで来たのでご心配なく。それに佐久間先生とは今の仕事を始めてから、何度かこちらの店でご一緒させて頂いてるので大丈夫です。」
優しく笑う彼女の笑顔が眩しい。
このたぬき親父はいつの間に、俺の知らないところで彼女との距離を詰めていたのかと腹立たしくもなる。
「そうなんだよ。僕らはそういう仲なのさ。患者さんとしてだけでなく、今や身内といってもいい程だ。」
嬉しそうに鼻の下まで伸ばして微笑む佐久間医師は、もはや眼科医局長という立場も忘れてしまっているようだ。
「…あまり、見本となる大人では無いので気を付けて。」
彼女に注意を促す。
「おいおい。僕は恩師じゃないのか?」
たぬき親父はそう言って、ガハハっと豪快に笑った。
彼の尊敬し得るところは、年下の俺が生意気な態度を取っても、気にも留めないこの気さくで懐深いところだと思う。
思えば俺も何度となく彼のお節介に救われた1人だ。
彼女は彼女らしくオーソドックスなチーズケーキと紅茶のセットを選ぶ。
「僕もバニラアイスとロゼワインをお願いするよ。」
俺が彼女の注文をウェイターに伝えていると、たぬき親父がすかさずそう言ってくる。
「飲み過ぎですよ…アイスだけにして下さい。明日も仕事なんですから。」
俺がすかさず咎めると、
「なんだよー。明日は出頭医じゃないんだからいいんだよ。」
と、たぬき親父が口を尖らせ拗ね始める。
面倒くさい酔い方を…と、俺は半ば呆れ顔でため息を吐く。
「佐久間先生、あまり飲まれると血糖値が心配です。奥様からもくれぐれも言われてますから。」
と、彼女が控えめながら加勢してくれる。
「アイスにはロゼがはよく合うんだが…千紗ちゃんにそう言われると弱いな…我慢するか…アイスだけでお願いするよ。」
と、たぬき親父があっさり折れる。
「あの、如月先生はデザートは良いんですか?」
心優しい彼女は俺の事まで気にかけてくれる。
「俺はもう充分です。それよりこんな時間に1人で大丈夫だった?夜暗いのに出歩くなんて危険だ…佐久間先生も少しは考えて下さい。」
夜の外出は健常者より人1倍怖かったのではないかと心配になってしまう。
「タクシーで来たのでご心配なく。それに佐久間先生とは今の仕事を始めてから、何度かこちらの店でご一緒させて頂いてるので大丈夫です。」
優しく笑う彼女の笑顔が眩しい。
このたぬき親父はいつの間に、俺の知らないところで彼女との距離を詰めていたのかと腹立たしくもなる。
「そうなんだよ。僕らはそういう仲なのさ。患者さんとしてだけでなく、今や身内といってもいい程だ。」
嬉しそうに鼻の下まで伸ばして微笑む佐久間医師は、もはや眼科医局長という立場も忘れてしまっているようだ。
「…あまり、見本となる大人では無いので気を付けて。」
彼女に注意を促す。
「おいおい。僕は恩師じゃないのか?」
たぬき親父はそう言って、ガハハっと豪快に笑った。
彼の尊敬し得るところは、年下の俺が生意気な態度を取っても、気にも留めないこの気さくで懐深いところだと思う。
思えば俺も何度となく彼のお節介に救われた1人だ。



