君の瞳にこの愛を捧ぐ〜凄腕眼科医の執着愛〜

海岸通りにあるコンビニに寄った後、あっという間に私のアパート前に到着した。

「ありがとうございました。」
頭を下げて車を降りようとすると、

「こちらこそ楽しい休日でした。ありがとう。」
と、如月先生から丁寧にお礼を言われ、それどころかわざわざ車から降りて来て、助手席のドアを外から開けてくれる。
そんな紳士的なところに、わたしの心臓はドキンと勝手に高鳴ってしまう。

「部屋はどこ?玄関まで付き添わせて。」
また、当たり前かのようにカバンを持ってくれるから、
「大丈夫です。住み慣れた場所なので見えなくても平気です。」
これ以上お世話になるのはいけないと、私は慌てて両手を振って断りする。

「…そうか。じゃあ、残念だけど、今日はここで失礼するよ。だけど、せめて先に部屋に入るまで見送らせて欲しい。」
そう言って如月先生は、荷物を丁寧に私の肩に掛け直し、そっと肩に手をかけてアパートの方向にクルリと回転させてくれた。

「…お休みなさい。」
私は少し振り返り、頭を軽く下げて手探りで2階へと続くアパート2階角部屋の自宅へと足を進める。

途中振り返り小さく手を振ってみる。もちろん如月先生の姿は見えないけれど…

「お休み。また、病院で。」
如月先生がわざわざ声をかけてくれるから、私はホッとして、笑顔と共に小さく手を振って、寂しさと共に部屋へ続く2階階段を登る。

最後は部屋の前で立ち止まり、如月先生がいるであろう場所に目線を向けて、また小さく手を振って自宅の鍵をピッと開け、部屋へと静々と入った。

なぜか泣きたいほど寂しさを覚える。
今日会って初めて会話しただけの人なのに…

玄関框で腰を下ろして、しばし寂しさに打ちひしがれる。なぜこんなにも離れ難くなったのか、自分の感情が自分自身でも分からなかった。