君の瞳にこの愛を捧ぐ〜凄腕眼科医の執着愛〜

藤堂としては不安を拭いきれないでいた。

彼女の為になる事を医者を目指す者としてしてあげたかった。だけど、いざその時になると、自己満足に過ぎないのではないかと思い始める。

ただの押し付けではないか?本当に彼女の為になっているのだろうか。

藤堂は自己嫌悪に陥っていた。

佐久間医師に、その事を素直に告げる。

そして、彼女自身が1人で考える時間を与えてあげて欲しいとお願いした。

「涼君も知らぬ間に大人になったな。」
佐久間医師に遠い目をされて、少し照れ臭い。

「彼女の意志を尊重したいんです。初めは良かれと思っていたんですが、いざとなったら…ただの俺の自己満足ではないかと思い直しました。」

「治験についての効き目は人それぞれだから、副作用の方が強く出て、新薬登録にならない薬だってあるくらいだ。懸命な判断だね。」
佐久間医師も納得してくれた。

「いろいろ詳しく教えて頂きたいんですが、この病気で角膜移植率はどのくらいですか?先生は今までどのくらいの症例に携わっておられますか?」
そこからは藤堂の質問攻めが続く。

「涼君は眼科を専攻するつもりかい?
眼科医はおすすめだよ。年々患者数は増えているのに医師は不足してるから。」
佐久間医師は最後にそう言って、藤堂を送り出してくれた。