一緒に昼食をとった後慌しく病院へと戻って行く涼を見送り、千紗もオンラインで職場で働く同僚達と会議に入る。
午前中にあったオペレーションに対しての質疑応答や、対処報告など申し送りをする事になっているのだけど、前嶋と麻里奈、千紗の3人だけだから、仕事のあれこれが終わったらどうしたって雑談になっていく。
「今日も、如月先生昼休みにそっちに行ったんですか?いそいそと出かけて行く姿を見ましたよ。」
麻里奈から揶揄い半分の如月に関しての情報が入る。
「忙しいからわざわざ帰って来なくてもって言ってるんだけど…まだ、私1人じゃ心配みたいで…。」
「過保護ですね、如月先生は。そういえば噂なんですけど…」
麻里奈にとって、千紗と唯一会話出来るのはこの時間しかない。話したい事が山のように溜まっているから、この時ばかりはと雑談が止まらない。
「麻里奈さん…一応この時間も仕事なんだから、雑談はやめてくれないかなぁ。」
勝手に女子トークを繰り広げ出す麻里奈を前嶋が制止する。
「これだって大事な引き渡し事項です。」
麻里奈が唇を尖らせ前嶋に抗議している。そんな2人のやり取りを仲がいいのか悪いのか…と思いながら、千紗は微笑み見つめていた。
なんて平和で素敵な日々なんだろう…。
目が見えない世界を知っている今の千紗にとって、目に見える全てのものがかけがえのない大切なものに思える。この世界は眩しいほど輝いている。
モニター越しに見える麻里奈と前嶋のたわいもないじゃれあいだって…。
「あっ!千紗先輩の快気祝いをしたいって職場のみんなと話してるので、近いうちにお声がけしますね。その時は是非、如月先生も一緒に来てくださいね。」
不意に麻里奈から明るい声が飛んできて、ビクッと驚きながら千紗は答える。
「そんな、快気祝いなんていいのに…。逆に申し訳ないから…。」
千紗としては何事もなかったようにスッと職場に戻りたい。それに如月との事も出来ればそっとして欲しいと思ってしまう。
なぜなら彼はモテるから、一緒にいるところを見られただけできっと嫉妬の目を向けられてしまうのではと心配になる。
「そんな心配しなくても如月先生との事はすでに病院内に知れ渡ってますよ。如月先生も一切否定しないから、今や病院公認のビックカップルですよ。」
千紗の心を読んだかのように、麻里奈がそう言って聞かす。
「えっ…いつの間に…」
入院中にただならぬ特別待遇を受けてしまったから…きっといやでも注目されてしまったのだろう…。
千紗はハァーとため息を落とし、この先の職場復帰を思い気が重くなる。
「大丈夫ですよ。如月先生が堂々と対応されてましたから、千紗さんの事を悪く思う人はいませんよ。」
千紗の心配を払拭させたくて前嶋は口を挟む。
「えっ…なんて言ってたんですか?」
気になりすぎて、つい千紗は聞いてしまう。
「そういう事は本人から直接聞くべきです。さぁ、そろそろ午後の勤務時間が始まります。頑張って行きましょう。」
前嶋の言葉でハッと我に返り、千紗は無理矢理仕事モードに気持ちを戻し、午後の勤務に向かっていった。
今日は金曜、きっと定時で帰って来るだろう如月の為夕方近くになると、夕飯は何にしようかと頭の片隅で考え出す。
彼は好き嫌いも無く、千紗が作る物なら何でも美味しいと残さず食べてくれる。
今夜は寒くなりそうだからお鍋にしようかな…。
仕事の合間にそんな事を思いながら、小さな幸せを感じてしまう。こんな日々がずっと続けば良いのにな。今の千紗の願いはこれに尽きる。
定時で仕事を終えてキッチンに足を運び、冷蔵庫の中身を見ながら、夕飯の買い出しへと気持ちが急く。
今から出かけたらきっと彼は先に帰って来るかも。そう思い、一度連絡を入れておこうとスマホを手に取る。
あっ…メッセージが来てる。
5時をちょっと回った時間に如月からのメッセージが入っていた。
『お疲れ様。急だけど、今夜は外食にしよう。用意して待ってて。』
本当に急だ…
昼間に会った時もそんな事一言も言って無かったのに。それに、何だかいつもと違って強引な文章に戸惑う。
いつもなら私がどうしたいか気持ちを1番に気にしてくれる人なのに…。
少しの違和感を感じながらそれでも直ぐに帰って来るだろうと、慌てて服を着替え化粧を直して身なりを整える。
グレーのロングスカートにふわふわニットのハイネックを着て、最近買ってもらったばかりの紺色のロングコートを羽織り玄関を飛び出す。
午前中にあったオペレーションに対しての質疑応答や、対処報告など申し送りをする事になっているのだけど、前嶋と麻里奈、千紗の3人だけだから、仕事のあれこれが終わったらどうしたって雑談になっていく。
「今日も、如月先生昼休みにそっちに行ったんですか?いそいそと出かけて行く姿を見ましたよ。」
麻里奈から揶揄い半分の如月に関しての情報が入る。
「忙しいからわざわざ帰って来なくてもって言ってるんだけど…まだ、私1人じゃ心配みたいで…。」
「過保護ですね、如月先生は。そういえば噂なんですけど…」
麻里奈にとって、千紗と唯一会話出来るのはこの時間しかない。話したい事が山のように溜まっているから、この時ばかりはと雑談が止まらない。
「麻里奈さん…一応この時間も仕事なんだから、雑談はやめてくれないかなぁ。」
勝手に女子トークを繰り広げ出す麻里奈を前嶋が制止する。
「これだって大事な引き渡し事項です。」
麻里奈が唇を尖らせ前嶋に抗議している。そんな2人のやり取りを仲がいいのか悪いのか…と思いながら、千紗は微笑み見つめていた。
なんて平和で素敵な日々なんだろう…。
目が見えない世界を知っている今の千紗にとって、目に見える全てのものがかけがえのない大切なものに思える。この世界は眩しいほど輝いている。
モニター越しに見える麻里奈と前嶋のたわいもないじゃれあいだって…。
「あっ!千紗先輩の快気祝いをしたいって職場のみんなと話してるので、近いうちにお声がけしますね。その時は是非、如月先生も一緒に来てくださいね。」
不意に麻里奈から明るい声が飛んできて、ビクッと驚きながら千紗は答える。
「そんな、快気祝いなんていいのに…。逆に申し訳ないから…。」
千紗としては何事もなかったようにスッと職場に戻りたい。それに如月との事も出来ればそっとして欲しいと思ってしまう。
なぜなら彼はモテるから、一緒にいるところを見られただけできっと嫉妬の目を向けられてしまうのではと心配になる。
「そんな心配しなくても如月先生との事はすでに病院内に知れ渡ってますよ。如月先生も一切否定しないから、今や病院公認のビックカップルですよ。」
千紗の心を読んだかのように、麻里奈がそう言って聞かす。
「えっ…いつの間に…」
入院中にただならぬ特別待遇を受けてしまったから…きっといやでも注目されてしまったのだろう…。
千紗はハァーとため息を落とし、この先の職場復帰を思い気が重くなる。
「大丈夫ですよ。如月先生が堂々と対応されてましたから、千紗さんの事を悪く思う人はいませんよ。」
千紗の心配を払拭させたくて前嶋は口を挟む。
「えっ…なんて言ってたんですか?」
気になりすぎて、つい千紗は聞いてしまう。
「そういう事は本人から直接聞くべきです。さぁ、そろそろ午後の勤務時間が始まります。頑張って行きましょう。」
前嶋の言葉でハッと我に返り、千紗は無理矢理仕事モードに気持ちを戻し、午後の勤務に向かっていった。
今日は金曜、きっと定時で帰って来るだろう如月の為夕方近くになると、夕飯は何にしようかと頭の片隅で考え出す。
彼は好き嫌いも無く、千紗が作る物なら何でも美味しいと残さず食べてくれる。
今夜は寒くなりそうだからお鍋にしようかな…。
仕事の合間にそんな事を思いながら、小さな幸せを感じてしまう。こんな日々がずっと続けば良いのにな。今の千紗の願いはこれに尽きる。
定時で仕事を終えてキッチンに足を運び、冷蔵庫の中身を見ながら、夕飯の買い出しへと気持ちが急く。
今から出かけたらきっと彼は先に帰って来るかも。そう思い、一度連絡を入れておこうとスマホを手に取る。
あっ…メッセージが来てる。
5時をちょっと回った時間に如月からのメッセージが入っていた。
『お疲れ様。急だけど、今夜は外食にしよう。用意して待ってて。』
本当に急だ…
昼間に会った時もそんな事一言も言って無かったのに。それに、何だかいつもと違って強引な文章に戸惑う。
いつもなら私がどうしたいか気持ちを1番に気にしてくれる人なのに…。
少しの違和感を感じながらそれでも直ぐに帰って来るだろうと、慌てて服を着替え化粧を直して身なりを整える。
グレーのロングスカートにふわふわニットのハイネックを着て、最近買ってもらったばかりの紺色のロングコートを羽織り玄関を飛び出す。



