君の瞳にこの愛を捧ぐ〜凄腕眼科医の執着愛〜

(千紗side)
久しぶりに深く眠れたせいか、意識が浮上するまで時間がかかる。重たくぼんやりした頭で、昨夜の事を考える… 昨日は確か…帰りに如月先生を待って…図書室で…

そこまで思い出して、えっ…?
なんか背中が温かい… あれっ…?
お腹も…?
手探りでお腹辺りを探ってみる…えっ!?

「…おはよ…。」
不意に後ろからぎゅっと抱きしめられて、思わずビクッと身体が動く。

「…り、りょうさん…?」

「うん…昨日の事覚えてるか?」
りょうさんも今起きたばかりなのか…少し声が掠れて聞こえる…。
「えっと…また、私…ご迷惑を…」
そう言いかけたところで、被り気味にりょうさんが、
「そうじゃない。俺が起こすのが可哀想で、勝手に連れ帰っただけだ。
…頭は痛くないか?体調はどう?」
と、後ろから額に手を当て熱を測り、首筋のリンパや手首の脈拍測りと触診される。

寝起きの頭には刺激が強すぎて、恥ずかしさに赤面する。

「良かった大丈夫そうだな。
昨晩から何も食べてないから腹減っただろ?」
ああ…そういえば、と思うとゲンキンなものでお腹が空いてくる。

りょうさんはすかさず、おすすめのお粥専門店の宅配を頼み、たまご粥がものの10分程で運ばれてきた。

こんなに美味しいお粥は初めて…そう思うくらい身体に、心に、染み渡る美味しさだった。

その後、お風呂を頂いて歯を磨いて、さっぱりしてそろそろ帰ろうと試みるのだけど…
その日は何故だか分からないけど、早々にお暇しようとする私を留めて、りょうさんが観たかったという映画を配信サービスで観る事になる。

もちろん私は観たくても観えないから、音声ガイダンスで聴いているのだけれど…

先程から後ろから抱きしめられた姿勢のままでテレビを観ている状態だから…
ドキドキが止まらなくて何一つ頭に入って来ない状況だ。

この人ってこんなに甘々な人だったんだろうか…普段のクールな感じは姿を消して、今日はずっと甘い空気に包まれている。

これが恋人同士の距離?なのかな…?
恋愛初心者の私にはこの距離感が正しいのかどうかも分からず、ただ、心臓は脈々と心拍数を上げる。

「あの…りょうさん、私そろそろ帰らないと…。」
2時間ほどの映画が終わり、そっと後ろを振り返る。