君の瞳にこの愛を捧ぐ〜凄腕眼科医の執着愛〜

診察を終えて病院を出る。
結局、りょうさんの車で送られて家に帰る。途中『ちょっと寄って帰ろう。』と、りょうさんが車を停める。

浜辺にあるベンチに、2人何を話す事無く座る。

私の耳には寄せては返す細波の音が途切れる事無く聞こえる。潮風が髪をたなびかせ、夏の終わりだというのに少し肌寒さを感じる。

「今日は澄んでいて空が綺麗だ。君にも見せてやりたいな。」
隣からりょうさんがそう呟く。

想像するのは5年前に見た澄んだ空の青さ…

「昔、その景色を見た事があります。今でも目に浮かんで来ますから…」
私は大丈夫です。そう言いたいのに…私は本当に大丈夫なのだろうか…?

こうやって病院も1人で行く事が出来なくて…昨日からずっとりょうさんにお世話になってばかりで。何も返せないどころか、迷惑ばかりかけてしまう。

この目が見えたら1人でも生きていけるだろうか…。 

もし…角膜移植をするならば費用はどのくらいかかるの…?
どのくらい入院するのだろう…?
そんな事を自然に考え始める自分がいた。