君の瞳にこの愛を捧ぐ〜凄腕眼科医の執着愛〜

(千紗side)

朝、明るさを感じて目が覚める。
あれ…?
普段と違う手触りを感じ、
えっ……⁉︎
と固まる。

ここはどこ…?
昨夜の記憶を探り不安に襲われながら、着ている服を触れば昨日着ていた服のままで少しホッとする。

昨夜…如月先生と居酒屋で…
少し遅い夕飯を食べて…それから…お酒を一杯だけ飲んで…
如月先生の車に乗ったところまでは朧げに覚えている…けど…

その後、どうしたのかどうやってここに来たのか記憶がない…

もしかして…如月先生の…家?
そう思うと、自分の心拍がやたらと大きく聞こえてくる。
落ち着こうと深呼吸をすると、如月先生の香水なのか洗髪料の香りなのか…凄く良い香りがした。

逆にもっと心拍が急上昇してバタバタしたくなるくらい恥ずかしくなってくる。
どうしよう…

自分の失態にどこかに隠れてしまいたくなるほど羞恥心を覚える。

今…何時だろう?
出来れば消えてしまいたい…コソコソと帰れたなら良いのだけど、見えない目では自分の荷物の在処すら簡単に見つける事が出来ない。

とりあえず、勇気を出してベッドの外に手を伸ばしてみる。
何か自分の物がないかと手探りで探す。

サイドテーブルらしき上に自分のバックを見つけて安堵する。中からスマホを出して時間を音声ガイドで聞けば、朝の9時を過ぎていた。

うわぁ…どうしよう…やってしまった…

頭を抱えてとりあえずベッドから出てみる。
立ち上がり恐る恐る歩くのだけど…
ガチャンッと何かに躓き、ゴンと膝をついてしまう。

下に絨毯が敷かれていたから少し衝撃は和らいだけど…

さすがに、痛い…

音を聞きつけバタバタと慌てたような足取りで誰かがやってくる。

如月先生だ…と思うと恥ずかしくて、逃げ場も分からないから、ただ丸くうずくまるしかなかった。

「大丈夫か⁈開けるぞ。」
勢いよくガチャっとドアの開く音がして、
フワッと風と共に如月先生が近付いてくる気配を感じる。

「大丈夫か⁉︎…どこをぶつけた⁉︎」
慌てふためく如月先生はうずくまる私を軽々抱え上げそのままリビングへと運ぶ。

「ひゃあっ!?」
と私は声にならない声を上げ、状況が分からないまま、ただただ恥ずかしくて両手で顔を隠す。

「どこだ!?どこか痛いのか?」
いつも冷静な彼なのに、珍しく冷静さを欠いていた。

「だ、大丈夫です…大して痛くないので…ただ…恥ずかしくて…。」
両手で顔を隠したままの状態でそう言うと、

「ごめん、状況が分からず驚いたよな…。
昨夜君の家まで行ったんだけど、眠ってしまっていて起こすのも忍びなくて、鍵を漁る訳にいかないし、俺の部屋に運ばせてもらったんだ。」
如月先生が神妙な声で謝ってくるから、慌てて私も、
「ごめんなさい…迷惑おかけしてしまい。
すいませんでした。」
と、素直に謝る事が出来た。

「いや…全然大丈夫。むしろ千紗から信頼をもらえた気がして嬉しかったから。」
如月先生が優しく頭をポンポンと撫ぜてくれた。