君の瞳にこの愛を捧ぐ〜凄腕眼科医の執着愛〜

ザザー ザザー ザザー 

寄せては帰す波音が
遠い記憶と共に聞こえてくる。

青い空と白い雲 キラキラと輝く水平線

段々と太陽が西に傾き 世界を夕焼け色に染めていく

そんな綺麗な風景を
2人で…暗くなるまでずっと見つめていた。

これが見納めかもしれないと…

日々過ごす毎日の中で切り取った絵の様な風景は、今も脳裏に焼き付いて、忘れる事が出来ないでいる…。

私は浮上していく意識の中で、夢と現実を彷徨っていた。

ここはどこだろう…
身体が鉛のように重くて動かない。
寝起きのような起きなきゃいけないのに起きたくない、もどかしい状態が続く。

「…千紗! 千紗!!…」
誰かが私を呼ぶ声がする…
懐かしい…強く心に響く低い声…

この声は誰…?

「…千紗、目を開けて!!」
母の悲痛にも似た声も聞こえてくる。

私は…どうしたのだろう?

まるで身体が自分のモノではないような感覚に戸惑い、もがくように指をなんとか動かしてみる。

すると、ぎゅっと大きな手に包まれる。
暖かい…誰…?
私は力強いその手に導かれるように、明暗しか認識できない目をそっと開ける。