「さて、片付けしなきゃな」
フローリングだけが剥き出しの状態のままの部屋には、段ボール箱がいくつも積まれている。正直、引っ越してドッと疲れているものの、片付けを少しでも終わらせないと暮らせない。
私、二見和香(ふたみわか)は息を吐きながら窓を開ける。ずっと見慣れていた山や田んぼはなくて、目の前には大きなビルやお店ばかり。人の足音や車の音がどこか地元より大きく感じる。
私は今日、地元の隣県から進学のために名古屋へ引っ越してきた。名古屋は、山と田んぼに囲まれて育った私から見れば全くの別世界の街に見えた。賑やかで華やかだけど、人も時間もどこか忙しなく動いている。
(まあ、こんなに忙しかったら地元のことなんてあっという間に忘れるよね)
隣の県の街とは思えないほど、名古屋は活気で溢れている。その音を聞きながら、私は段ボールを開け、まずは食器類を棚に片付けていくことにした。
(あっ……)
段ボールの中に、卒業アルバムが入っていることに気付く。実家に置いてきたつもりだったが、間違えて段ボールに入れてしまっていたみたいだ。深い青の表紙をなぞると、頭の中にあいつの笑った顔が浮かびそうになって、慌てて頭を振る。
フローリングだけが剥き出しの状態のままの部屋には、段ボール箱がいくつも積まれている。正直、引っ越してドッと疲れているものの、片付けを少しでも終わらせないと暮らせない。
私、二見和香(ふたみわか)は息を吐きながら窓を開ける。ずっと見慣れていた山や田んぼはなくて、目の前には大きなビルやお店ばかり。人の足音や車の音がどこか地元より大きく感じる。
私は今日、地元の隣県から進学のために名古屋へ引っ越してきた。名古屋は、山と田んぼに囲まれて育った私から見れば全くの別世界の街に見えた。賑やかで華やかだけど、人も時間もどこか忙しなく動いている。
(まあ、こんなに忙しかったら地元のことなんてあっという間に忘れるよね)
隣の県の街とは思えないほど、名古屋は活気で溢れている。その音を聞きながら、私は段ボールを開け、まずは食器類を棚に片付けていくことにした。
(あっ……)
段ボールの中に、卒業アルバムが入っていることに気付く。実家に置いてきたつもりだったが、間違えて段ボールに入れてしまっていたみたいだ。深い青の表紙をなぞると、頭の中にあいつの笑った顔が浮かびそうになって、慌てて頭を振る。


