世界の西にある大陸にその国はあった。ジュニパー国。三つの大国に囲まれる小さな国である。しかし、多くの大国はこの国に手を出そうとはしない。何故なら、この国は魔法の国だからだ。
ジュニパー国の民は、はるか昔から魔法を使うことができた。他国の人間にはできないことだ。そのため、他国から支配されることなく穏やかな歴史が続いている。
誰もが魔法を使えることが当たり前であるジュニパー国だが、一人の十八歳の少女は例外だった。
午前零時。誰もが寝静まっている。大きな屋敷が立ち並ぶ通り通りに一人の男の姿があった。闇に溶けてしまうような黒いシルクハットと黒いタキシード、そして黒いマントを羽織り、目元には仮面をつけている。男の目はある屋敷の屋根裏部屋にあった。
白い月明かりが照らす屋根裏部屋には、ツギハギだらけのワンピースを着た少女が啜り泣いている。ワンピースは元々は真っ白だったのだろう。しかし、今では黄ばみや様々な汚れが染み付いていた。
「うっ……ううっ……。どうして私なんか生まれちゃったんだろう……。もう消えちゃいたい!」
ジュニパー国の民は、はるか昔から魔法を使うことができた。他国の人間にはできないことだ。そのため、他国から支配されることなく穏やかな歴史が続いている。
誰もが魔法を使えることが当たり前であるジュニパー国だが、一人の十八歳の少女は例外だった。
午前零時。誰もが寝静まっている。大きな屋敷が立ち並ぶ通り通りに一人の男の姿があった。闇に溶けてしまうような黒いシルクハットと黒いタキシード、そして黒いマントを羽織り、目元には仮面をつけている。男の目はある屋敷の屋根裏部屋にあった。
白い月明かりが照らす屋根裏部屋には、ツギハギだらけのワンピースを着た少女が啜り泣いている。ワンピースは元々は真っ白だったのだろう。しかし、今では黄ばみや様々な汚れが染み付いていた。
「うっ……ううっ……。どうして私なんか生まれちゃったんだろう……。もう消えちゃいたい!」

