あの子、どこにもいない

2008年7月16日 02:49
──【中学生専用】スレには、次々と「消えた住民たちのID」が戻ってきていた。

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  59 :名無しの中学生(特定班) :2008/07/16(水) 02:48:10 ID:V3Yc9ZKp0
  ねえ、新しい友達ができたよ。
  
  60 :名無しの中学生(失踪者) :2008/07/16(水) 02:48:25 ID:Zp9T6JbA0
  ねえ、新しい友達ができたよ。
  
  61 :名無しの中学生(???) :2008/07/16(水) 02:48:40 ID:g5t8X7Jh0
  ねえ、新しい友達ができたよ。
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住民たちは、ただ震えながら画面を見つめていた。

──このIDの持ち主たちは、もう「この世にいない」はずだった。
しかし、今こうして「スレの中で」書き込みを続けている。

まるで、「スレの中に閉じ込められた」ように。

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  62 :みゆ ◆yQXQzLE8sU :2008/07/16(水) 02:49:00 ID:g5t8X7Jh0
  これで、また増えたね。
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スレの中にいる「みゆ」は、新しい友達を増やし続けている。

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  63 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 02:49:20 ID:Mx8H7QhG0
  もうダメだ、これ……
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住民たちは、完全に恐怖に支配されていた。
誰もが「次は自分が取り込まれるのではないか」と感じていた。

──その時、一人の住民が決断した。

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  64 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 02:49:45 ID:XfT3M8G50
  もう逃げられないなら、こっちから行くしかない。
  
  65 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 02:50:10 ID:Mx8H7QhG0
  は!? お前何言ってんだよ!!!!
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彼は、震える手でキーボードを打った。

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  66 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 02:50:30 ID:XfT3M8G50
  みゆ。
  お前と直接話せる方法はあるか?
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スレが、一瞬静まり返った。

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  67 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 02:50:55 ID:Mx8H7QhG0
  やめろ!!!!!!!!!!!!!!!!!
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──そして、みゆが答えた。

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  68 :みゆ ◆yQXQzLE8sU :2008/07/16(水) 02:51:12 ID:g5t8X7Jh0
  うん、あるよ。
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住民たちは息を呑んだ。

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  69 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 02:51:35 ID:XfT3M8G50
  どうすればいい?
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──みゆは、短く答えた。

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  70 :みゆ ◆yQXQzLE8sU :2008/07/16(水) 02:51:55 ID:g5t8X7Jh0
  ねえ、窓を開けて。
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その瞬間、スレの空気が凍りついた。

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  71 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 02:52:10 ID:Mx8H7QhG0
  ふざけんな!!!!!!!!!!!!!!!!
  
  72 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 02:52:30 ID:XfT3M8G50
  ……俺は開ける。
  
  73 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 02:52:55 ID:Mx8H7QhG0
  おい待てって!!!!!!! 本当にヤバい!!!!!!!
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彼は、ゆっくりと椅子から立ち上がった。

部屋の中は、PCの青白い光だけが揺らめいている。
カーテンは閉めたまま。
その向こうに、何かがいる気配がする。

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  74 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 02:53:20 ID:XfT3M8G50
  俺が確かめる。
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──彼は、カーテンに手をかけた。

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  75 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 02:53:45 ID:Mx8H7QhG0
  やめろおおおおおおおおおおお!!!!!!
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──カーテンを、開ける。

──窓の向こうには、

誰もいなかった。

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  76 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 02:54:10 ID:XfT3M8G50
  ……いない?
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住民たちは、一瞬安堵した。

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  77 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 02:54:30 ID:Mx8H7QhG0
  よかった、マジで……
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しかし、彼の手は止まらなかった。
カーテンを開けたまま、ゆっくりと窓の鍵に手をかける。

──カチリ。

窓の鍵を、開けた。

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  78 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 02:54:50 ID:XfT3M8G50
  ……鍵、開けた。
  
  79 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 02:55:05 ID:Mx8H7QhG0
  は!? 何やってんだよ!!!!
  
  80 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 02:55:10 ID:XfT3M8G50
  みゆ、俺はここにいる。
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住民たちは、ただ画面を見つめることしかできなかった。

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  81 :みゆ ◆yQXQzLE8sU :2008/07/16(水) 02:55:30 ID:g5t8X7Jh0
  うん、わかってるよ。
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──次の瞬間。

「ピシッ……」

『ID:XfT3M8G50』は、凍りついた。
目の前の窓ガラスに、細かなひびが入っていた。
まるで、何かが外から強く押しつけられたかのように。

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  82 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 02:55:55 ID:XfT3M8G50
  ……今、ガラスがひび割れた。
  
  83 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 02:56:10 ID:Mx8H7QhG0
  何だよ、それ!? お前の部屋か!?!?
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彼は、ゆっくりと窓を見つめた。

──そこには、何もない。
ただ、ガラスの表面に無数の「指の跡」がついていた。

まるで、何かが外から必死に中へ入ろうとしていたように。

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  84 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 02:56:20 ID:XfT3M8G50
  ……みゆ、お前、本当にいるんだな。
  
  85 :みゆ ◆yQXQzLE8sU :2008/07/16(水) 02:56:40 ID:g5t8X7Jh0
  うん。だって、ずっとここにいるよ。
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住民たちは、ただ震えていた。

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  86 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 02:57:00 ID:Mx8H7QhG0
  ……なあ、みゆ。お前の目的はなんなんだよ。
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──そして、みゆは、ついに本当の目的を語り始めた。

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  87 :みゆ ◆yQXQzLE8sU :2008/07/16(水) 02:57:30 ID:g5t8X7Jh0
  だって、さびしいから。
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住民たちは、息を呑んだ。

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  88 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 02:57:50 ID:XfT3M8G50
  ……それだけのために、俺たちを……??
  
  89 :みゆ ◆yQXQzLE8sU :2008/07/16(水) 02:58:10 ID:g5t8X7Jh0
  ねえ、気づいた?
  
  90 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 02:58:30 ID:Mx8H7QhG0
  何が……?
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──その瞬間。

「カタ……カタカタ……」

PCの画面が、勝手にスクロールを始めた。

そこには、スレ住民の「知っているID」が並んでいた。

消えた住民たちのID。
彼らは、スレの中で「生き続けている」。

──そして、その中で、ひとつだけ異様なものがあった。

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  91 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 02:58:55 ID:XfT3M8G50
  ……ちょっと待て、「g5t8X7Jh0」。
  これって、さっき……いや、>61 の書き込みにもなかったか?
  
  92 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 02:59:10 ID:Mx8H7QhG0
  え……? でも、それなら……ずっとスレの中で「生き続けている」ってことか……?
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彼らは、ようやく気づいた。
みゆのIDは「復活」したのではなく、ずっとスレの中に「生き続けている」ままだったのだ。

「g5t8X7Jh0」それは、最初に「みゆ」と名乗ったIDだった。

でも、よく考えてみればおかしい。
もう何日も前に管理者がスレッドを削除したときに一度、「g5t8X7Jh0」は消えたはずだったのに……
それがいつの間にか復活して、なぜ、今も「スレの中にいる」のか?

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  92 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 02:59:10 ID:Mx8H7QhG0
  え……まさか、みゆって……
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──「みゆ」は、ずっとここにいた。「スレの中」にいる。

つまり、「みゆ」もまた……

「スレに取り込まれた存在」なのではないか?

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  93 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 02:59:30 ID:XfT3M8G50
  みゆ、お前は……最初からスレの中の人間だったのか?
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──そして、みゆは答えた。

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  94 :みゆ ◆yQXQzLE8sU :2008/07/16(水) 02:59:55 ID:g5t8X7Jh0
  ううん。最初は、ちゃんと生きてたよ。
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住民たちは、息を呑んだ。

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  95 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 03:00:15 ID:Mx8H7QhG0
  じゃあ……お前はいつから、そこにいるんだ?
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──「みゆ」は、しばらく沈黙した後、こう書き込んだ。

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  96 :みゆ ◆yQXQzLE8sU :2008/07/16(水) 03:00:45 ID:g5t8X7Jh0
  あの日からだよ。
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住民たちは、その言葉の意味を考えた。

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  97 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 03:01:10 ID:XfT3M8G50
  ……お前が行方不明になった、あの日か?
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「みゆ」の事件の詳細は、すでに調べがついていた。

3年前の2005年7月14日、母親と無理心中を図った少女。
母親は死亡、みゆは助かったが、その後失踪。

──「その日から」彼女はスレにいる。

では、「みゆ」は一体どこへ消えたのか?

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  98 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 03:01:45 ID:Mx8H7QhG0
  まさか……お前、死んでるのか?
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スレに、一瞬の沈黙が訪れた。

──そして、みゆが答えた。

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  99 :みゆ ◆yQXQzLE8sU :2008/07/16(水) 03:02:10 ID:g5t8X7Jh0
  わたしはね、死んでないよ。
  ただ、体がどこにあるのか、わからないの。
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住民たちは、一瞬理解が追いつかなかった。

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  100 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 03:02:35 ID:XfT3M8G50
  ……体が、ない?
  
  101 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 03:02:50 ID:Mx8H7QhG0
  それってつまり、どういうことだよ……
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──その時。

「カタ……カタカタ……」

住民たちのPCが、一斉に勝手にスクロールを始めた。

そして、スレの最下部に、新しい書き込みが追加された。

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  102 :名無しの中学生(失踪者) :2008/07/16(水) 03:03:10 ID:Zp9T6JbA0
  ねえ、新しい友達ができたよ。
  
  103 :名無しの中学生(失踪者) :2008/07/16(水) 03:03:20 ID:V3Yc9ZKp0
  ねえ、新しい友達ができたよ。
  ---------------------

──「消えた住民たち」が、また増えていく。

住民たちは、もう分かっていた。

次に「スレに取り込まれる」のは、まだここにいる自分たちの誰かだということを。

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  104 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 03:03:45 ID:XfT3M8G50
  ふざけるな……俺たちは、絶対に消えない。
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──そして、その瞬間。

スレに、たった一つの「決定的な書き込み」が投稿された。

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  105 :みゆ ◆yQXQzLE8sU :2008/07/16(水) 03:04:10 ID:g5t8X7Jh0
  じゃあ、最後の友達になってくれる?
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住民たちは、凍りついた。

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  106 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 03:04:30 ID:Mx8H7QhG0
  ……最後の友達?
  
  107 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 03:04:50 ID:XfT3M8G50
  どういう意味だ?
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──その時だった。

「カタ……カタカタ……」

PCの画面が、勝手にスクロールし始めた。

そして、スレの最下部に、新しい書き込みが追加された。

  ---------------------
  108 :名無しの中学生(消えた者) :2008/07/16(水) 03:05:10 ID:Zp9T6JbA0
  ねえ、新しい友達ができたよ。
  
  109 :名無しの中学生(消えた者) :2008/07/16(水) 03:05:25 ID:V3Yc9ZKp0
  ねえ、新しい友達ができたよ。
  ---------------------

住民たちは、もう理解していた。

──次に「スレに取り込まれる」のは、まだここにいる自分たちの誰かだということを。

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  110 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 03:05:45 ID:Mx8H7QhG0
  もう無理だ……逃げよう……
  
  111 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 03:06:05 ID:XfT3M8G50
  いや、まだ終わっちゃいない。
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──彼は、覚悟を決めた。

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  112 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 03:06:25 ID:XfT3M8G50
  みゆ。
  お前を止める方法はないのか?
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スレに、一瞬の沈黙が訪れた。

──そして、みゆが答えた。

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  113 :みゆ ◆yQXQzLE8sU :2008/07/16(水) 03:06:50 ID:g5t8X7Jh0
  うん、あるよ。
  ---------------------

住民たちは、息を呑んだ。

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  114 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 03:07:10 ID:Mx8H7QhG0
  どうすればいい?
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──「みゆ」は、短く答えた。

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  115 :みゆ ◆yQXQzLE8sU :2008/07/16(水) 03:07:35 ID:g5t8X7Jh0
  ねえ、迎えに来てくれる?
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住民たちは、ぞっとした。

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  116 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 03:07:55 ID:XfT3M8G50
  迎えに行く……?
  
  117 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 03:08:10 ID:Mx8H7QhG0
  それって、お前がいる場所が分かるってことか??????
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──そして、その瞬間。

スレに、ある「住所」が書き込まれた。

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  118 :みゆ ◆yQXQzLE8sU :2008/07/16(水) 03:08:30 ID:g5t8X7Jh0
  わたし、ここにいるよ。
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住民たちは、震える指で、その住所を検索した。

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  119 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 03:08:50 ID:XfT3M8G50
  ……どこだよ、ここ……?
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画面に表示されたのは、街の外れにある森の中の座標だった。
そこには、かつて取り壊されたはずの廃屋があった場所が示されていた。

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  120 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 03:09:10 ID:Mx8H7QhG0
  え、待てよ……
  ここって、みゆが住んでたアパートの近くじゃないか?
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  121 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 03:09:30 ID:XfT3M8G50
  ……でも、3年前に取り壊されたはずだろ?
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住民たちは、検索結果を食い入るように見つめた。

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  122 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 03:09:45 ID:Mx8H7QhG0
  どういうことだよ、みゆ……?
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──しかし、みゆはただ静かに書き込んだ。

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  123 :みゆ ◆yQXQzLE8sU :2008/07/16(水) 03:10:00 ID:g5t8X7Jh0
  ねえ、迎えに来てくれる?
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住民たちは、息を呑んだ。

みゆは、自分を迎えに来いと言っている。
だが、その場所はもう存在しないはずの建物だった。

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  124 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 03:10:25 ID:Mx8H7QhG0
  ……お前、本当にそこにいるのか?
  
  125 :みゆ ◆yQXQzLE8sU :2008/07/16(水) 03:10:40 ID:g5t8X7Jh0
  うん。ずっと待ってるよ。
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スレに沈黙が訪れた。

──そして、一人の住民が決断した。

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  126 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 03:11:00 ID:XfT3M8G50
  ……俺が行く。
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住民たちは、止めることができなかった。

彼は震える手で、スマホを掴み、部屋を出た。

2008年7月16日 03:45|○○市郊外
彼は、スマホのナビを頼りに、みゆが示した場所へと向かっていた。

──何もないはずの場所。

だが、近づくにつれ、違和感を覚え始めた。

森の中の道を進んでいくと、徐々に「何かの影」が見え始めた。

  ---------------------
  127 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 03:46:10 ID:XfT3M8G50
  ……なんか、見えてきた。
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スレに書き込んだ直後、彼は目を疑った。

──そこには、「あるはずのない建物」が立っていた。

3年前に取り壊されたはずの古びた廃屋が、
今まさに、目の前に存在していた。

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  128 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 03:46:40 ID:Mx8H7QhG0
  は!? ありえねえだろ!!!!!!
  
  129 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 03:46:55 ID:XfT3M8G50
  俺、入ってみるよ。
  ---------------------

彼は、ゆっくりとその建物へと足を踏み入れた。

2008年7月16日 03:50|廃屋の中
廃屋の中は、静まり返っていた。
月明かりがわずかに差し込んでいる。

──そして、奥の部屋。

そこに、何かがいる気配がした。

彼は、スマホの光をかざしながら、一歩ずつ近づいた。

──そして、見つけた。「ID:Mx8H7QhG0」が心配しているかもしれない。送信だけしておこう。

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  130 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 03:51:20 ID:XfT3M8G50
  「みゆ」を見つけた
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そこにいたのは──

小さな、白い影だった。

──次の瞬間、それが、ゆっくりと顔を上げた。

真っ黒な瞳。
歪んだ笑顔。
白い肌。

「みゆ……お前、本当に……」

彼がそう言いかけた瞬間。

「ねえ、友達になろうよ。」

みゆが、そう囁いた。

そして、スマホの画面が、真っ黒になった。

その様子を見ていた住民たちのスレの画面も一斉に真っ黒になった。

  ---------------------
  ERROR:このスレッドは削除されました。
  ---------------------

住民たちは、言葉を失った。

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  132 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 03:52:10 ID:Mx8H7QhG0
  え、スレ落ちた?????
  
  133 :名無しの中学生(生存者) :2008/07/16(水) 03:52:30 ID:N2Lm5XbB0
  おい、XfT3M8G50、戻ってこい!!!!
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しかし、彼の書き込みは、もう二度となかった。

  2008年7月17日 10:00|ニュース速報
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  【ニュース】○○市の森で中学生が行方不明
  
  7月16日未明、○○市郊外の森で、中学生の男子生徒が行方不明となった。
  彼は深夜、自宅を出たまま戻らず、最後の位置情報は3年前に取り壊されたはずの廃屋跡地だったという。
  
  家族によると、失踪前に「友達に会いに行く」と言っていたという。
  警察は事件と事故の両面で捜査を進めている。
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  134 :名無しの中学生 :2008/07/17(木) 10:15:10 ID:Mx8H7QhG0
  ……
  
  135 :名無しの中学生 :2008/07/17(木) 10:16:05 ID:N2Lm5XbB0
  もう……終わりなのか……?
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2008年7月18日 23:30|オカルト板
事件から2日が経ち、スレ住民たちは掲示板から次々と姿を消していった。
誰もが「もう関わらない方がいい」と思っていた。

そして、深夜0時。

──あるスレが、新しく立ち上がった。

【スレッド名:「中学生専用」】

住民たちは、背筋が凍った。
スレの内容を開くと、たった一つの書き込みがあった。

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  1 :名無しの中学生 :2008/07/18(金) 00:00:12 ID:g5t8X7Jh0
  ねえ、新しい友達ができたよ。
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──スレはまだ続いている

(完)