貴方ともう一度、恋の夢を

 そんなことを思いながら橋の上を歩いていると、ふと、視界の端が眩しく感じた。


 視線を移すと、水面が朝日に照らされ、反射している。
 その眩さに、思わず目を細める。


 朝日って、こんなに眩しかったっけ。


「わ、黒猫」


 莉奈の声に釣られて、川から目を離す。
 少し先から、黒猫がこちらに歩いてきている。


「見て、あの子の目、青色だよ」


 莉奈は言いながら、カバンからスマホを取り出そうと、カバンを漁り始めた。


 私はというと、その子から目が離せなかった。

 その子は、私の視線に気付いたのか、私を一瞥した。


 その途端、時間が止まったかのような感覚がした。


「あった!」


 莉奈の声で意識は現実に引き戻され、黒猫との視線が合わなくなった。
 そして黒猫は、私たちの足元を走り去っていった。


「あーあ、逃げちゃった」

 莉奈の悲しそうな声も耳に残らず、黒猫の後ろ姿を目で追う。


「百華、遅刻しちゃうよ?」
「うん……」


 そう言われて、私は後ろ髪を引かれる思いで足を進めた。