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「おはよう、黎夜くん」
目を覚ますと、緋翠の薄ら笑い顔が目の前にあった。
夢の内容を覚えているから、緋翠が気持ちの悪い顔をしている理由は、なんとなく察した。
「また悪夢を見たようだね。私が喰らってあげようか」
聞き飽きた言葉に、思わずため息が出る。
「お前に喰わせる夢はないって、何回言えばわかるんだよ」
緋翠を押しのけながら身体を起こすと、その奥にいた瑚羽が俺をじっと見つめてきた。
まるで俺を見下しているようにも感じる。
「……黒猫の意地っ張り。生きてたころの嫌な思い出なんて……緋翠に喰らってもらったらいいのに」
瑚羽は昔、人間に虐められて死んでしまったらしい。
妖になったばかりのとき、その夢にうなされることが多く、緋翠にその夢を喰わしたとか。
そして悪夢は見なくなったらしいが……
「……嫌だと思ったことなんて、一度もないっつーの」
悪夢の原因は、記憶。
緋翠に悪夢を喰われたら、記憶まで欠けるだろう。
たしかに、桜子の死に際なんて思い出したくない。
だけど、どの瞬間の桜子も忘れたくなくて、俺は緋翠に夢を渡したくないのだ。
渡してたまるものか。
「相変わらず一途だね、黎夜くんは」
緋翠はクスクスと笑う。
なんだか、嘲笑われている気分だ。
面白くなくて、俺はその場を離れるべく、立ち上がった。
「その桜子が生まれ変わったと知ったら、君はどうするのだろうね?」
「おはよう、黎夜くん」
目を覚ますと、緋翠の薄ら笑い顔が目の前にあった。
夢の内容を覚えているから、緋翠が気持ちの悪い顔をしている理由は、なんとなく察した。
「また悪夢を見たようだね。私が喰らってあげようか」
聞き飽きた言葉に、思わずため息が出る。
「お前に喰わせる夢はないって、何回言えばわかるんだよ」
緋翠を押しのけながら身体を起こすと、その奥にいた瑚羽が俺をじっと見つめてきた。
まるで俺を見下しているようにも感じる。
「……黒猫の意地っ張り。生きてたころの嫌な思い出なんて……緋翠に喰らってもらったらいいのに」
瑚羽は昔、人間に虐められて死んでしまったらしい。
妖になったばかりのとき、その夢にうなされることが多く、緋翠にその夢を喰わしたとか。
そして悪夢は見なくなったらしいが……
「……嫌だと思ったことなんて、一度もないっつーの」
悪夢の原因は、記憶。
緋翠に悪夢を喰われたら、記憶まで欠けるだろう。
たしかに、桜子の死に際なんて思い出したくない。
だけど、どの瞬間の桜子も忘れたくなくて、俺は緋翠に夢を渡したくないのだ。
渡してたまるものか。
「相変わらず一途だね、黎夜くんは」
緋翠はクスクスと笑う。
なんだか、嘲笑われている気分だ。
面白くなくて、俺はその場を離れるべく、立ち上がった。
「その桜子が生まれ変わったと知ったら、君はどうするのだろうね?」


