貴方ともう一度、恋の夢を

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「目は覚めたか? 卯月(うづき)


 夢で聞いたのとは違う、優しさと怒りが混ざった男の声。


 一瞬、ここがどこなのかわからなかったけど、すぐに理解した。
 私が生きている世界、教室だ。


 日本史の授業中に寝てしまったようで、私の席の真横に、先生が立っている。

 笑顔だけど、目が笑っていない。


「……すみません」


 私がそう言いながら身体を起こすと、先生は黒板の前に戻っていった。


 みんなの視線が私に集中していることもあって、恥ずかしさで消えてしまいたい。

 莉奈なんて、声を押し殺して笑っているし。
 これは絶対、あとでからかわれるやつだな。


 今朝とは違う悪夢を見たし、本当に最悪。


 夢なら、あの人との楽しいデートとか見せてくれればいいのに。


 って、あれ……
 あの人の名前、なんだったっけ。
 せっかく知ったのに、忘れるなんて。
 まあ、夢なんてこんなものか。


 まだ眠気が残っているのか、私は小さく欠伸をする。


 そのとき、窓枠に雀が一羽止まっていることに気付いた。


 独りでこんなところにいるなんて、可愛らしい。
 そう思ったけど、なんだか、じっと私のほうを見つめているような……


「卯月!」


 先生の大きな声に、肩がビクッとなった。

 振り向くと、笑顔すら消えてしまった先生が、黒板の前にいる。
 普段怒らない人だから、余計に怖い。


「寝たり、よそ見したり……それだけ余裕なら、一つ質問をしようか」


 先生はニヤリと笑い、ちょっと……いや、かなり難しめの問いを投げかけてきた。
 まったく話を聞いていなかった私は、当然のごとく、答えられなかった。