「おはよう、椿!」
「おはよう、りかちゃん。晴哉くんは?」
「もうすぐ来るんじゃない?今日は確かサッカー部の朝練に体験参加してたはずだし」
「タオルとスポドリ持って迎えに行かなくていいの?」
「なっ!誰が行くか、馬鹿!」
やっぱりわかりやすいりかちゃんを揶揄いながら、席につく。
平和な会話って幸せだ、といつものように普通を噛み締めていると、思い出したようにりかちゃんが振り返ってきた。
「そういえば聞いた?灰街の治安改善事業、また無期限停止だって」
「聞いた。問題が山積みって言ってるけど、実際のところどうなんだろうね」
灰街。
色褪せた廃ビルに生ゴミで溢れる路地裏、治安なんてないに等しい無法地帯。
「日本で最も治安が悪い街」と呼ばれるほどで、数年前から国が治安改善事業を行なっているが、事業停止が多すぎて全く進んでいない。
なぜ進んでいないかといえば、理由はただ一つ。状態が悪すぎるからだ。
どんな犯罪者も、灰街に入ってしまえば10年は逮捕されないと言われているのもそのせい。
10年も街で生きていられるかは別として、灰街には滅多に警察官が来ない。
交番はとっくの昔になくなった。この辺りの地域の犯罪の九割はそこで行われていて、掃除もされていないし廃ビルの取り壊しもされていないし。
あまりに汚すぎて火山噴火で灰でも降ったか、みたいに見えるから「灰街」と呼ばれているわけだ。
その写真を初めて見た人はきっと、終末世界をテーマにAIが描いたイラスト、とでも答えるだろう。
それくらいひどい。
ほとんどがホームレス。お金持ちなんて一部の殺し屋や暴走族くらいだ。
だから手がつけられなくて政府は足踏みしている。
「・・・・・・あそこ、かも」
「・・・・・・そうだな、あそこかもな」
「あ、晴哉くん。お疲れ」
「おう、さんきゅ」
朝練から戻ってきてノリで私の呟きに参加してきた晴哉くんが、私の顔を覗き込む。
「なんか閃いたって顔してんな」
「うん、閃いた」
「おっ!じゃあ今日も冴えてる椿さま!宿題写させてくれ!」
「プリント一枚につき100円ね」
「うっ、代償が地味に高い・・・!」
「はい自業自得ー」
「うっ・・・あのう、りかさん・・・数学の課題見せてもらえませんかね」
「一ページ120円で手を打とう、哀れな晴哉くんよ」
「ぼったくり・・・」
「晴哉くんくーん?何か言いました?」
「いいえ何にもお姉様」
会話を楽しみながらも、私は思考する。
殺し屋アルケー、その存在の正体を暴く鍵はきっと、「灰街」にある。
灰街に乗り込むのはアルケーの目処が立ってからにするとして、最近の灰街あたりのお金の流れを見てみようかな。
よし、決めた。今日はそっちでいこう。
私はとりあえず、100円を受け取って1枚目のプリントを晴哉くんに提示した。
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
「あー腹減ったぁぁぁ」
「晴哉くん、体育ガチってたもんね」
「椿も体育すごかった!」
「そうかな?晴哉くんには負けたよ」
昼休み。四時間目の体育を振り返りながら、私たちは学食に向かっていた。
今日は学食の日替わりメニューの優先券をゲットしているのだ。
めっちゃ美味しいみたいなので楽しみ。
そういえば、今日の朝ごはんも美味しかったな・・・・・・。
ぼんやりと嗣翠のことが頭に浮かんだ。
――すると。
「ねっ、ほら見てあそこ」
・・・・・・話しかけられたかと思ったが、どうやら違う人が友達に向けて放った言葉のようだ。
よく見れば周りの人はだいたい同じ場所をチラチラと見ているようで、みんな忙しない。
もしや、と思って、その視線の先に目を向ける。
「――成瀬さん・・・・・・なんて、素敵・・・・・・」
ああ、やっぱりか。
その視線の先には、嗣翠がいた。
大盛りハンバーグ定食を半分ほど既に食べているようで、コーヒーを片手にスマホで何かを見ている。
なんて優雅な光景。嗣翠だけブルジョワみたいだ。
「なに、やっぱ椿も気になるの?成瀬 嗣翠さん」
ニヤニヤのりかちゃんが追及してくるも、「いや、キレーな顔だなと思って」と答えて躱す。
・・・・・・でも、気になる、か。
最初よりは気になるようになったと思うけど、興味があるって程じゃない。
見れるなら見ておこう、くらいにしか思わない。
けど、それは私にとって随分進歩じゃないだろうか。
「顔は綺麗だけど、あの先輩めっちゃ冷たいらしいよ」
「ふーん」
「今まで何人も告白したらしいけど玉砕みたいだし、男子ともあんまり関わってないから人間嫌いなんじゃないかって言われてる」
人間嫌いな成瀬さんも素敵、とか言われてそうだなあ。
それくらいに彼の容姿は目を惹くものだ。視界に入ったらいつの間にか見ている。
・・・・・・それはいいとして、誰にでも冷たく接しているのは、やっぱり自分に巻き込まないためだろうな。
仲がいい人を作れば、その分その人が危なくなるんだから。
――そっか。
彼がひとりぼっちなのは、周りが薄情なわけじゃない。
彼が、嗣翠が、優しすぎるからだ。
きっと組でも、自分以外に「裏切り者」が出ないように仲間を作っていないのだ。
それなのに、それを破ってまで私を自分専属にした。
私は部外者だったとはいえ、比較的安全な情報屋を自分の事情に巻き込むのは心が痛かっただろうな。
「椿?」
「んーん、何でもない」
私は心配そうに覗き込んでくる2人に笑いかけてから、日替わりメニューの列に並んだ。
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
「うがー」
「晴哉くん、どうかした?」
渡されたプリントを見て、晴哉くんが撃沈した。
なんかあったのかな?大丈夫かな?
「見ろよ、この年間予定表。中間考査があと1ヶ月ちょっとだぞ」
「ほんとだ」
中間考査・・・あれか、テストってやつ。
なるほど、だから私にプリント代400円を吸い取られた晴哉くんは絶望してるのか。
ちなみにりかちゃんには360円差し出していた。高笑いしていたりかちゃんは容赦がない。
「・・・」
私は、現在トイレに行っているりかちゃんを思い描いた。
確か、結構成績良かったはず。
「りかちゃんに教えを乞いなよ、晴哉くん」
「ファッ⁉︎ななな、なんであいつに⁉︎」
「りかちゃん頭いいじゃん」
「いや、そうだけど・・・そうだけどさあ」
椿も頭いいじゃん、って言ってこないあたり、やっぱり晴哉くんはりかちゃんに教えてもらいたいんだね。
うーん、もうちょっとなんだけどなあ。
そのうちどっちかが我慢できずに告白するだろうし。
まあそれはともかく、今回のチャンスは逃さないべきだよね。
「そういえば晴哉くん、知ってた?誰かに勉強教えると、自分の学力も上がるらしいよ」
「え」
「教えてもらう側も教える側も得するなんて、教え合いっていいよねえ」
「・・・・・・・・・・・・」
こんなもんか。
たぶん「お前のためにもなるし・・・」とかぶつぶつ言いながら、ツンデレ気味で勉強会を申し込むに違いない。
どっちかの部屋で勉強会してよ、部屋で。
「・・・何ニヤニヤしてんだよ」
「べっつにー?それより、有用な情報を教えてくれてありがとうは?」
暗に「お前がりかちゃん好きなの知ってんだからはよ告れ」と言うと、晴哉くんは顔を真っ赤にした。
「言うか馬鹿!」
なんか怒り方もりかちゃんと似てるなあ。
結局2人って似た者同士だよね。
今回は超いい情報を無料で差し上げてるんだから、2人にはくっついてもらわないと。
いつくっつくかなあ。中間でちょっとは進展するといいなあ。
私はやっぱりニヤニヤし続けるのだった。
・・・あー、やっぱり平和っていいな。
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
なんて、思ってたりしたんだけど。
まさか、こうなるとは思ってなかった。
「調査の調子はどう?」
「予想以上に進んでる。今日の私は冴えてたからね」
晴哉くんから巻き上げた400円で買ったコーラを飲み下し、私は親指を立てた。
案外他の人との会話で新たに気付くことは多い。
今まではずっと1人でやっていたから、考えが整理されていくことに驚きを隠せないよ。
そう伝えると、嗣翠は一瞬考え込んだ。
「嗣翠?」
「なら、俺でよければ考えの整理にいつでも付き合うよ」
「いいの?」
「元々俺が頼んだ情報だし」
椿の力になれるなら、と嗣翠は頷いてくれた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?
いや待てよ、うまく思考を逸らされた気がする。
客観的視点を忘れずにいこう。
わたしはさっき。「まさか、こうなるとは思ってなかった」って思ってたんだった。そうそう。
まず確認。私は、嗣翠と何をしている?
答え。夕食の買い出しを一緒にしている。
誰と?
嗣翠と。
・・・なぜ?
・・・・・・今日の夕飯のメニューを一緒に決めたいって言われて、なぜか、連れてこられた・・・・・・。
「⁇⁇」
メニューを一緒に決めたがるのはもはや驚かない。こいつはスパダリだ。
でもそうじゃない。何で私は、嗣翠と、一ノ瀬 嗣翠と並んでスーパーを歩いているのだ?
言うなれば今は、
「ヤクザと情報屋が、正体バレると危ないからって変装して夕飯の具を買いに来ている図」だ。
まったく、平和なんだか物騒なんだか。
嗣翠と言えば、なんか最近、嗣翠の雰囲気がどことなく柔らかくなった気がする。
声音にも、ロボットに勝てるくらいには抑揚が出てきたっぽいし・・・。
なんで変わってきたのか、この変化がいいのか悪いのか悪いのかわからないが、私に感情を見せてくれること自体は嬉しいし、何の問題もない。
とりあえずこの件には触れなくてもいっか、と結論づけ、私は現実逃避のために食べたいメニューを思い浮かべた。
「そういえば、嗣翠は好きな食べ物とかないの?」
「ない」
・・・まあ、だろうね。
私でさえ食に趣向は持ってないっていうんだから。それだから私にメニューを聞いてくるんだろうし。
でも、私の食べたいものだけ作ってもらうっていうのもな・・・。
・・・・・・本人は気付いてないだけで好きな食べ物があったりして?
これからいろんな種類の食べ物をオーダーしてみようかな。
「じゃあ今日は、焼き鮭定食」
「急に和風?わかった」
「楽しみにしてるね!」
私が微笑むと、嗣翠はぽんと私の頭を撫でで、「お任せを、お嬢様」なんて冗談を言ってのけたのだった。
・・・声は、相変わらず淡白だったけど。
ふふん、と上機嫌でスーパーを見回す。
ついでにいくつかエナジードリンクを買っておきたいな。
そんなことを考えていると。
「ねえ、見て見てあの2人」
「まあ、2人仲良く買い出し?新婚さんかしら」
・・・ん?
なぜかこちらを見て微笑ましそうに喋っているおばさんを見つけた。
新婚?え、もしかして私と嗣翠が?
えええ、そんなふうに見えてたの⁉︎
「・・・ふむ」
嗣翠もそれに気付いたようで、少し何かを考える素振りを見せた。
意外だな、てっきり気にせず通り過ぎるか、「気にするな」だけで終わらせるかと――おわっ⁉︎
これは、考え事に集中していて、嗣翠の腕が近付いていることに気が付かなかった私の失態。
いつの間にか嗣翠の手は私の腰にまわっていた。
な、なぜ腰⁉︎
「嗣翠?」
「今は変装中でしょ。新婚に見えるならちょうどいい。そう見せておけば正体はバレないし」
「え、あ、たし・・・かに」
いやいや、でも流石にこれは恥ずかしいよ。
それを目で訴えるも、「新婚ならこれなんじゃない?知らないけど」と言われてしまった。
そうなのか・・・?新婚って腰を抱くのか・・・?
手を繋ぐで良くないか、とも思ったが、周りの反応が思ったより悪くない。
・・・嗣翠の腕も、悪くない。
なんか、ちょっと太くて、大きくて、男の人の腕だなあと・・・。
・・・・・・私は一体何を考えているんだ。
しばらくはこのままになりそうだな、と察し、私はなぜか増加した心拍数を無視しながら必死に夕飯に考えを巡らせたのだった。
・・・・・・・・・これがまさか、嬉しい、なんて思うようになるのは、まだ少し先のお話。
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それから、一週間。
私はデータたちと戦いながら美味しいご飯を食べて「普通」を謳歌する日々を過ごしていた。
殺し屋アルケーの情報の納期まではあとちょうど2週間となった。
「学校を休む?」
「ん。ちょっと今正念場でね・・・・・・」
素早くキーボードを叩きながら、私は答えた。
現在夜の31時。・・・・・・言い換えれば朝の7時だ。
つまりは徹夜。
それにはもちろん理由がある。
今までの一週間の間に色々調べて、色々発覚したことがあったからだ。
「アルケーのターゲットは予想通り、『人身売買』『違法薬物』『性加害行為』のどれかを必ずやってた。逆に言えば、やってないターゲットの殺しは断られてた」
この情報ももちろん裏を取った。確実性は保証していい。
「この前は報酬金を全部調べて、今は灰街を中心にお金の回りを確認してるとこ・・・・・・」
これが結構時間がかかって手間なのだ。銀行の引き出しと預け入れをただ確認すればいいってわけじゃない。
もし本当にアルケーが灰街にいるなら、銀行は使ってないほうが自然だ。とはいえ、報酬金が多いから銀行は無視できない。
それを調べるだけじゃなくて、銀行を使ってなかったときのお金の周りも調べないと。
「ここらへんは急がないと勘付かれちゃうかもしれないから・・・風邪ってことにしといてくれない?」
「それはいいけど・・・・・・椿、ちゃんと休んでよ。」
「?だから学校を休むんだけど・・・・・・」
「そうじゃない・・・・・・」
新しいコーヒーを淹れてくれた嗣翠が、私の頭を撫でた。
うっ、それやめて。安心して眠くなる・・・!
「・・・俺が依頼した内容だし。休息をとりながらやれって言うのは筋違いだからやめておく」
ああ、さっきのちゃんと休めってそういうことだったんだ。
情報収集の正念場で休息を取るっていう発想がなかったからわからなかった。
「終わったらでいい。お前はちゃんと寝て」
「わはっは」
朝ごはんのパンを齧りながら言うと、やれやれと肩をすくめた嗣翠が去っていく。
「じゃあ行ってくる。欠席理由は風邪にしておく」
「いってはっはーい」
嗣翠の背中を見送る――ことはせず、今はただ目の前のコードに集中する。
ふー、と深呼吸をして、コーヒーを一口。
・・・ん、うまい。
パチンと頬を叩いて、私はディスプレイとの睨めっこに勤しんだ。
・・・今んとこ銀行口座にあたりなし、か。
これが最後の会社だし、となると銀行は使っていない可能性が高い。
可能性、じゃなくて確証を得たいところだけど、今はそんな時間がない。
少しでもアルケーを見つけられそうな口を最優先で調べなきゃ。
となると、銀行を使っていないのなら、お金はどう管理するのかな?
殺し屋の報酬は今の時代口座に振り込むけど、一部は口座のお金のやり取りを記録に残さないために現金で取引する人もいる。
成績がいい殺し屋ほど特にそういう傾向がある。
となると、アルケーも現金で受け取っているかもしれない。
ボストンバッグ、いやダンボール?灰街にあるなら、ゴミ箱とかでもおかしくないけど・・・。
「いやでも、違う」
そうじゃないよね。
アルケーほど稼いでいる殺し屋のお金が、バッグや段ボールやゴミ箱に入るはずがない。
何個もダンボールとかがあったら気になるに決まってるし、ゴミ箱は普通に住民が漁るし・・・。
んー、何にお金を入れるんだ?徹夜したせいか頭が回らない・・・。
『なら、俺でよければ考えの整理にいつでも付き合うよ』
いやいや、さっき出て行ったばっかだし。
一徹したくらいでこの程度の答え出せなくてどうするの。
『元々俺が頼んだ情報だし』
・・・・・・。
――意地張ってる場合じゃない、か。今は時間の問題なんだから。
通学は電車だけど、今ならまだ駅まで歩いている時間のはずだ。
私は急いで電話をかけた。
『・・・どうした?なんかあった?』
「ねえ嗣翠、もし、もしだよ」
私が考えの整理を求めているのを察したのか、嗣翠は素直に『ああ』と頷いた。
やっぱり嗣翠は頭がいいな。
そんなパートナーを持てていてよかった。
「灰街に大きな大切なものを隠すとしたら、嗣翠はどうする?」
『大きな、大切なもの・・・』
もう喉元まで出かかっている、されどどうしても出てこない答え。
それを、嗣翠は少し考えた後にあっさりと出してのけた。
『高くてエレベーターが壊れてる廃ビルの最上階に隠してそこに自分もいる』
「それだ!ありがとね!!」
『あ――』
普段は嗣翠が切るまで待つが、今はそれどころじゃない。
ブッツリと切って、私は早速廃ビルを調べる。
灰街の住人の九割は薬物中毒だ。
残りの一部は若者。
彼らは親が薬をすべて自分のために飲んでしまうから飲むのを逃れられている。
灰街で一番高い廃ビルは38階建て。高さで言うと150メートル近くある。
エレベーターだってもちろん壊れている。
何で廃ビルになったかっていうとそれは「灰街だから」なんだけど、それは置いといて。
そんな高さ若者でさえもきついのに、住民の九割の薬物中毒者が登れるわけがない。
しかも廃ビルやら何やらの物資は数十年前に回収され尽くしたんだから、今建物は風除けにしか使われないのが現状だ。
わざわざ疲れてまで最上階に登るやつなんていない。
嗣翠は、それでも誰かが来たときのために、自分もそこにいると言ったのだろう。
「さっすがは嗣翠・・・!」
ああすっきりした。それだ、それしかない。
本当は今灰街の廃ビルに行って確かめたいところだけど、嗣翠がいない今それはできないから。
今は灰街にある監視カメラのうち稼働しているものを探し出して漁る。
その中でも、特に高い廃ビルの方向に向かっている人物を割り出す。
それしかない・・・!
「よっしゃ燃えてきた!」
私は腕をまくり、必死に監視カメラが稼働しているか確認し続けた。



