拳銃とベルガモット







「朝比奈近いよ。あと3メートルは離れて」


「お前のほうが近ぇだろうが」


「はあ・・・・・・」



結局、この2人とご飯を食べることになってしまった。


いや、わかってたよ。2人が並んできた時点でわかってたよ。


でも何で私が。何で、私が、いるんでしょう。



「ねえ、私ここにいなきゃだめ?」


「当事者が何を言ってるんだ」


「やっぱり俺と別のところに行こう、椿」


「却下だ成瀬」


「お前に聞いてないんだけど」



嗣翠の言葉の槍がすごい。視線の冷たさも相まって南極みたいだ。


それで平然としていられるあたり、さすがは太陽。



「・・・・・・朝比奈先輩」


「何だ」


「・・・・・・・・・・・・初めまして」



あえてそう言うと、太陽はふん、と鼻から息を吐いた。



「・・・ああ、そうだな」


「・・・・・・」



嗣翠も気づいただろう。この初めましては初めましてじゃない。


久しぶりだね。その意味での初めましてだ。



「あとで詳しく」



それだけ言って、嗣翠は自分の大盛りハンバーグ定食を食べた。


その量、どこに入るんだろう。







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放課後。


説明に選ばれたのは嗣翠の私邸、つまり私たちの家だった。



「改めて。久しぶりだね、『太陽』」


「・・・ああ。久しぶり、『つばき』」



私たちは数年ぶりに名前を呼び合った。


何とも言えない気まずさが流れ、私は沈黙してしまう。



「・・・・・・」



そんな重い空気を破ったのは、太陽だった。



「つばき」


「・・・うん」


「本当に、悪かった」


「・・・・・・・・・」



太陽は、深々と頭を下げる。


・・・だから、気まずかったんだ。


太陽は私を見つけたら謝ってくるだろうなって、思ってたから。



「生きててよかった・・・。あの日からずっと、探してたんだ」


「・・・・・・そっか、いなくなっちゃってごめんね」


「いいや。俺が悪かった。本当にごめん」



完全に蚊帳の外でも、嗣翠は口を挟んだりしなかった。


たぶんなんかあったんだろうな、っていう目で、静かに私たちを見守っている。


それが、何よりもありがたかった。



「つばき、頼む。・・・俺から、成瀬に・・・一ノ瀬に、説明させてくれないか」



そんな気配を感じ取ったのか、太陽は私にそう問うた。


太陽が帰ってから自分で話そうと思ってたのに、太陽は自分の責任を果たそうとしているらしい。


・・・つくづく、太陽らしいな。



「うん。お願い」



私は静かに頷いた。


私から話すべきだったのか、太陽に甘えてよかったのか。


どっちでもいい。嗣翠には知っておいてほしかった。



「俺たちの灰街での生活と、それから6年前の事件について」




眼裏に浮かぶのは、赤々と燃える炎。


熱くて、怖くて、辛くて、悲しくて、苦しい。


それまでの私のすべてを壊し、今の私のすべてを作るきっかけとなった炎だ。






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