「とうちゃーーーく」
「ここ」
動物園?
かくんと膝が砕けそうになる。
なんとか両手を太ももに置いて,くずれ落ちはしなかった。
「ど,どうしたんですか? 大丈夫?」
「よ,よかった……」
顔中に力を入れてはぁはぁと呼吸を整える。
ほんとに,どうしようかと思った。
「何がですか?」
エッッな場所に連れていかれるかと。
「うるさいわよ。なんなのあんた」
「僕? 僕は錦川 璃空です。今大3かな」
「そんなこと聞いてんじゃ……え? そうなの?」
やっぱ同い年じゃない。
そういえば名前ひとつ知らないんだった。
「私はニ虎。鮫島 ニ虎よ。で,なんで動物園?」
「考えたんだけど。やっぱり僕だけじゃ足りないかなって。癒されたいんでしょ」
「呆れた。ここまで来ると私が悪いみたいだわ。だからね,全部演技なんだっ」
「でも」



