本当の愛を知るまでは

「花純、今夜はどこかで食べて帰る?」
「んー、外食は光星さんの身体にまだ良くないから、作ります」
「そう? じゃあ、スーパー寄って帰ろうか」
「はい。アイスクリームも買っていいですか?」
「ははは! もちろんいいよ、花純ちゃん」

帰りの車の中で明るく会話しつつも、花純は先ほどの女性のことが気になっていた。
それに仕事の話をしている時の光星はキリッと凛々しく、なんだか知らない人のように感じた。

(光星さん、いつもあんなふうに女性社員と話してるんだ。パーティーの同伴も、いつもあの人が?)

恋人同士になって距離が縮まっていたから忘れがちだったが、光星は有名企業の社長なのだということを改めて思い知る。

(私、ひょっとして随分不釣り合いなんじゃ……。さっきの人みたいに、綺麗でそつなく仕事をこなすような大人の女性じゃないと、光星さんの隣に並ぶ資格もない)

そう考えた途端、花純の心に影が差す。

「花純? どうかした?」
「えっと、夕食何を作ろうかなと思って」
「無理しなくていいよ。やっぱり食べて帰る?」
「ううん、ちゃんと作るから。茶わん蒸しと筑前煮にしようかな」
「おおー、楽しみだな」

スーパーに着くと、二人であれこれと食材を選ぶ。
アイスクリームも買ってから、マンションに帰った。