本当の愛を知るまでは

朝食を食べると、光星の運転で二人でオフィスに向かう。

「花純、今日も定時で上がれそう?」
「はい、何もなければ。光星さんは?」
「俺もなるべく区切りつけるから、一緒に帰ろう。終業後に俺のオフィスに来てくれる?」
「分かりました」

駐車場に車を停めると、二人でロビーを横切る。
7時過ぎは、相変わらず誰の姿もなく静かだった。

「それじゃあ、また」
「ああ、行ってらっしゃい」

中層階エレベーターに乗り込み、光星に手を振ると、急に光星が外側からボタンを押して花純を抱き寄せた。
えっ、と思う間もなく、熱く口づけられる。
目を見開いていると、光星は身を引き、何事もなかったように手を振る。
エレベーターの扉が閉まっても、花純はドキドキしたままだった。