本当の愛を知るまでは

「おはよう、花純」

朝になり、ぼんやりと目を開けた花純は、目の前に迫る光星の顔に驚いて目をぱちくりさせた。

「お、おはよう、ございます」

あまりの近さに身体を離そうにも、光星にギュッと両腕で抱きしめられていて動けない。
しかも素肌と素肌が触れ合う感覚に、花純は真っ赤になってうつむく。
それがまた、光星の裸の胸に顔をすり寄せることになり、更にジタバタと焦った。

「なに、朝からイキがいいね。どうしたの?」
「光星さん、あの、離して。恥ずかしいの」
「ははっ、可愛いな。じゃあ離すけど、見えてもいい?」
「え、何が?」

光星の腕が緩み、身体が離れた途端に自分の姿が視界に入った。

「ひゃっ……」

花純は慌ててまた光星に抱きつく。

「ちょ、花純! それはヤバイって」

意図せず裸で抱きつかれ、今度は光星が焦り始めた。

「遅刻してもいいならいいけど?」
「え、どういうこと?」
「こういうこと」

ガバッと半身を起こした光星が、抱きしめながらキスをしてきて、花純は目を見開く。

「こ、光星さん、ダメ!」

必死で胸を押し返し、なんとか腕から逃れた。

「残念、続きはお預けだな。じゃあ、起きるか」
「は、はい。あの、先に行っててください」

背を向けながらそう言うと、光星はクスッと笑って花純の頭にポンと手を置く。

「分かったよ、恥ずかしがり屋の花純ちゃん」

ようやくベッドから降り、光星は楽しそうに部屋を出て行った。