本当の愛を知るまでは

通路を抜けてプールサイドに出ると、ビーチと海のような広い空間が広がっていて、花純は思わず目を見開く。
先に待っていた光星も、近づいて来た。

「花純」
「光星さん! すごいね、ここ。本当に南国のリゾートみたいね」

そう言って光星を見上げた途端、男らしいガッシリした裸の胸板が目に入り、花純は慌ててうつむく。

「髪、ポニーテールにしたんだ。可愛い。水着もよく似合ってる。ちょっと、目のやり場に困るけど」
「わ、私もです」

この歳になってこんなにもドキドキするとは、と恥ずかしくなった。

「浮き輪借りようか」

そう言ってさり気なく手を繋がれる。
花純は返事も出来ずに真っ赤になった。

大きな浮き輪を借りてプールに入ると、身体が水に浸かってようやく恥ずかしさから開放された。

「ぷかぷかするのって気持ちいい」
「そうだな。あっちの方に行ってみよう。波が出てるみたいだから」

光星が花純の浮き輪を押して、広いエリアに出た。
その途端、ふわっと身体が波で浮き上がる。
わっ!と、慌てて花純は光星の首に抱きついた。

「ははっ! 花純、浮き輪つけてるのにそんなにしがみついたら顔だけ溺れるぞ?」
「だって、びっくりして。きゃっ……」

再び大きな波がやって来て、花純はバランスを崩す。
光星は花純のウエストをグッと抱き寄せた。
身体が真っ直ぐに戻りホッとしていると、すぐ目の前に光星の顔があってドキッとする。
水の中では、光星の大きな手が、肌に直接触れている。

「光星さん、あの……」

ドギマギしていると、光星も戸惑ったようにうつむいた。

「花純、こんなにウエスト細いんだな。肌もすごく綺麗だ」
「えっと、あの……」
「なんか、色々ヤバくなる」

そう言うと光星は花純から手を離し、浮き輪に両腕を載せる。

「波、もう少し近くまで行こうか」
「うん。あっ! 足がつかなくなっちゃった!」
「ははは! 大丈夫だよ。俺が支えるから」

光星は今度はそっと優しく花純の身体を抱き寄せた。