本当の愛を知るまでは

「お、結構品揃えいいな。花純、どれがいい?」

プールの受付横のショップには、浮き輪やビーチボールと並んで色とりどりの水着が並んでいる。

「リゾートっぽい水着が多いですね。花柄とか、パレオとか。でも日焼けしないからパレオはいらないかな」

呟きながら、次々と手に取ってみる。

「あっ、これ可愛い!」

ネイビーのホルターネックのビキニは、サイドのレースのような飾りがアクセントになっていた。
だがよく考えてみると、まだつき合い始めたばかりの光星に、ビキニ姿を見られるのは恥ずかしい。

「えっと、やっぱりこっちにしようかな。あ、でもさすがにこれは似合わないか……」

キャミソールタイプの赤い水着は、胸元のシャーリングとスカートのフリルで露出も少ないが、どう見ても10代か20代前半向けだった。

「どれで迷ってる?」

光星に聞かれて、2つの水着を掲げてみる。

「んー、どっちも似合いそうだけど、花純のイメージだとこっちかな?」

ネイビーのビキニを指差され、そうだよね、と納得した。

「でも花純、ちょっと男の目が心配だからこれも一緒に着て」

そう言って光星は、透け感のある白いショートボレロを持って来た。

「あっ、こんなのあるのね。うん、そうする」

受付で水着の会計とロッカーキーを受け取り、更衣室の前で別れる。
花純は早速水着を着てみた。

(わっ、予想以上に露出が……)

水着を着るのが久しぶりなのもあり、ビキニは何とも心許ない。

(面積的に、下着と一緒じゃない? まだ光星さんに下着姿も見せてないのに)

そこまで考えて赤くなる。

(いやいや、何考えてんの、私ったら。これは水着で、ここはプール。うん)

顔を引き締めてからボレロを羽織り、これなら安心、と更衣室を出た。