「ひゃー! さっすがセレブね。こんなに大きなクルーザーを貸し切るなんてすごい」
千鶴が目を輝かせて船内を見渡す。
「セレブじゃないんだけどねえ。まったくもう……」
呟く花純に、滝沢が笑いかけた。
「いいじゃないっすか、愛する奥さんの為ならこれくらい。金は天下の回りものって言うしね」
そうそう、と原も同意する。
「それにクロスリンクワールドなら、あっという間に業績もV字回復するよ。以前より更に伸びるんじゃないか?」
「そうなの?」
「ああ。疑惑は無事に晴れたし、何もやましいことはない。それに他のサイトに移行したユーザーも、やっぱりクロスリンクワールドの方が良かったって再認識して戻ってきてる。スポンサーもな」
「そうだったのね」
光星からは聞かされていなかったことを教えられ、花純はホッとする。
「だからさ、今日はパーッと盛大に祝おうぜ。二人の未来と、クロスリンクワールドの前途を祝して」
かんぱーい!となぜだかその場で盛り上がる。
美味しい料理を食べ、お酒を飲み、デッキに上がって海からの景色を眺めた。
誰もが笑顔を浮かべている。
「花純、ここにいたんだ」
「光星さん!」
職場の人とのおしゃべりを終えた光星と肩を並べて潮風に吹かれる。
「気持ちいいね」
「ああ、そうだな」
「ん? 光星さん! 見て、あれ。虹!」
「え、ほんとだ」
傾きかけた太陽に照らされ、青空に七色の虹がかかっていた。
周りのゲストも歓声を上げて写真を撮る。
「花純」
「はい」
「見られたな、雨上がりの綺麗な虹」
「ええ」
二人で肩を寄せ合い、静かに語りながら思い出す。
長く暗く、雨に打たれたように辛かったあの日々。
いつか空は晴れると信じて、虹を見ようと励まし合ったあの時。
二人で乗り越え、こうして一緒に虹を見られた幸せを噛みしめる。
「花純となら、この先の未来に何が起きても信じられる。いつか雨は止み、空は晴れ、綺麗な虹がかかると」
「ええ。そして必ず光る星が私たちを照らしてくれる。輝く私たちの未来を」
「そうだな。この空に誓うよ、俺は花純を必ず幸せにすると」
「私もです、光星さん」
皆が虹に見とれる中、二人は微笑み合い、そっと口づけを交わした。
ようやく見つけた本当の愛を噛みしめながら……
(完)
千鶴が目を輝かせて船内を見渡す。
「セレブじゃないんだけどねえ。まったくもう……」
呟く花純に、滝沢が笑いかけた。
「いいじゃないっすか、愛する奥さんの為ならこれくらい。金は天下の回りものって言うしね」
そうそう、と原も同意する。
「それにクロスリンクワールドなら、あっという間に業績もV字回復するよ。以前より更に伸びるんじゃないか?」
「そうなの?」
「ああ。疑惑は無事に晴れたし、何もやましいことはない。それに他のサイトに移行したユーザーも、やっぱりクロスリンクワールドの方が良かったって再認識して戻ってきてる。スポンサーもな」
「そうだったのね」
光星からは聞かされていなかったことを教えられ、花純はホッとする。
「だからさ、今日はパーッと盛大に祝おうぜ。二人の未来と、クロスリンクワールドの前途を祝して」
かんぱーい!となぜだかその場で盛り上がる。
美味しい料理を食べ、お酒を飲み、デッキに上がって海からの景色を眺めた。
誰もが笑顔を浮かべている。
「花純、ここにいたんだ」
「光星さん!」
職場の人とのおしゃべりを終えた光星と肩を並べて潮風に吹かれる。
「気持ちいいね」
「ああ、そうだな」
「ん? 光星さん! 見て、あれ。虹!」
「え、ほんとだ」
傾きかけた太陽に照らされ、青空に七色の虹がかかっていた。
周りのゲストも歓声を上げて写真を撮る。
「花純」
「はい」
「見られたな、雨上がりの綺麗な虹」
「ええ」
二人で肩を寄せ合い、静かに語りながら思い出す。
長く暗く、雨に打たれたように辛かったあの日々。
いつか空は晴れると信じて、虹を見ようと励まし合ったあの時。
二人で乗り越え、こうして一緒に虹を見られた幸せを噛みしめる。
「花純となら、この先の未来に何が起きても信じられる。いつか雨は止み、空は晴れ、綺麗な虹がかかると」
「ええ。そして必ず光る星が私たちを照らしてくれる。輝く私たちの未来を」
「そうだな。この空に誓うよ、俺は花純を必ず幸せにすると」
「私もです、光星さん」
皆が虹に見とれる中、二人は微笑み合い、そっと口づけを交わした。
ようやく見つけた本当の愛を噛みしめながら……
(完)



