本当の愛を知るまでは

怒涛の日々が始まった。
光星はスポンサーや顧客への対応、弁護士との打ち合わせに追われつつ、任意の取り調べを受ける。
その合間にも、告発者の細工を解明しようとひたすらパソコンに向き合っていた。

事態が収束するまで社員は全員自宅待機させ、マスコミやサイトの運営に関する対応は臼井が一人でこなしていく。
花純は食料品の買い出しから料理、洗濯、掃除など、自分に出来ることを精一杯やりながら二人をサポートしていた。

オフィスビルのエントランスには相変わらずマスコミが待機し、花純が食料品を買い込む姿に勘づかれて、質問攻めにされる。
気軽に出歩けなくなると、代わりに滝沢がカフェの食事を光星のオフィスまで届けてくれるようになった。

「ありがとう、滝沢くん。温かい飲み物も、すごくホッとする」
「ホットだけにね」

そう言って滝沢は、いつものようにニッと笑う。

「森川さん、元気出してよ。俺、いつでも分けてやるからさ。元気マシマシ、スマイルゼロ円で」

あはは!と花純は思わず声を上げて笑った。

「うん、滝沢くんに会うと元気出る。ありがとね!」
「あいよー。上条さんにもよろしくねー」

滝沢は片手を挙げて明るく去って行った。