『あれがワシの孫だ。名前は美桜という』
大安寺の本家に呼ばれて足を運んだとき、大地さんが俺に紹介した人。
大きな新品のランドセルを背負って、一人で楽しそうに公園を歩いていた女の子だった。
「……みお」
「あの子も、伊織と同じで両親を亡くしたばかりだ」
「俺と、同じ……?」
「あぁ。六歳のときにな、父と母を飛行機事故で失ったんじゃ。だからワシが引き取った」
「……」
「伊織、あの子はこれから先、きっといろんな敵組織に狙われることになる」
「美桜ちゃんが、狙われる……?なんで?」
「きっと、普通の女の子にはしてやれない。大安寺の家に来たということは、そういうことなんじゃ」
「……」
「だから伊織。あの子を……、美桜を守ってほしいんじゃ」
大地さん美桜ちゃんを見て、切なそうな顔をしながら俺にそう言った。
ただ、守るとは言っても、そばで見守ることはできなかった。
彼女が中学へ進学するまで、会話をすることは愚か、近くにいることさえ禁じられた。



