結婚なんて、ゼッタイお断り!







それまで冷たかった大和の右手が、少しずつ温かみを帯びてきた。

「──お前はそのままでいい」

「え?……って、きゃっ!」




大和は私を強引に引き寄せらて、大胆に強く抱きしめた。

ギュッと抱きしめられたとき、大和の香水のにおいが鼻をかすめる。




「これからも俺が、一生をかけてお前を守ってやるから」

「大和、ちょっと……苦しいよ」

「だから俺のそばにいろ、美桜」

「……大和?」

「俺を、怖がんな」






いつも私をからかってくるような、軽いノリなんかじゃなかった。

少し余裕がないくらいの、真剣な声色。






「うん、怖くない」

そう言って、私はゆっくりと大和の背中を抱きしめ返した。