私がそう言うと、大和は少し驚いた表情を浮かべて私を見た。
大和がシュンとしているのは、やっぱり似合わない。
いつも自分勝手な俺サマで、強引で、私を振り回すくらいの大和のほうが、何倍もお似合いだ。
「謝らなくちゃいけないのは、私のほうだよ。あのとき、大和は私のことを守ってくれたのに、私、お礼を言うよりも先に……大和を傷つけちゃったよね」
あのとき、大和が差し伸べてくれた手を握れなかった。
赤く腫れていたあの手の傷は、私を守ってくれたからできたものなのに。
傷も、痛みも、全部大和が代わってくれたから、私が無事でいられたのに。
「ごめんね、大和」
「……っ」
大和の右腕を、そっと握った。
その手には、たくさんの小さな傷跡が残っている。
「ありがとう。あのとき、私を守ってくれて」
お祭りのときに言えなかった感謝の言葉を、今、ようやく伝えることができた。
「……美桜、お前」
「私も強くなるよ!守ってもらうばかりじゃなくて、私自身も強くなればいいんだ!」
「……」
「大和と伊織、いつも夜ごはんのあと走りに行ってるでしょ?あれ、私も一緒に走ろうかなぁ」
「ふっ、ついて来れねぇよ」
「い、いけるよ!私こう見えて、体育の成績はすごくいいんだからね!」



